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肉体不平等―ひとはなぜ美しくなりたいのか? (平凡社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 平凡社
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なぜそこにふみこまなかったのか ★★★☆☆
どれだけ夢を二次元に託していようと、三次元の現実から目と
耳をふさいでいようと、彼はそこに「いる」。とりあえず電脳ネット
ワーク上に消息をくらますことのできそうにない今世紀中の人
類は、外見を「持っていなければならない」。本書は、外見に執
着してしまうわれわれの肉体不平等社会を写し取る、5章の断
片だ。

なるほど、ナショナリストでありながらボディビルという西洋的な
美の肉体を手に入れた三島由紀夫には、近代国家として「鬼畜
米英」を唱える日本と同じ種の悲喜劇がある。さらに、乙武氏の
著書が注目を集めた背景に、コンプレックスなどないようなさわ
やかな彼の「外見」、逆の意味での「外見至上主義」を見て取る
著者の目線は、鋭いだろう。

だがしかし、僕が納得できないのは、冒頭の「ビューティーコロシ
アム」に対する著者の悪意の混じったまなざしを知れば、この人
自身にだって立派な外見コンプレックスがあることは一目瞭然な
はずなのだけれど、本書では一切それについては触れない、そ
のことだ。この本で著者が語るのは、最後まで「他人の外見の話」
である。

別に僕は「人のふんどしで相撲を取るな!」と言いたいわけではな
い。外見について、著者自身が考えに考え抜いた末の所産として、
こうして本にという体裁をとることになったことは、僕にだってわかる。
しかし、いやだからこそ、自分についてなぜ語らなかったのだろう。

その延長線上で、この人は障害者の外見や、性的マイノリティの美
的感覚についても、「同列に扱うことができない」からと予め踏み込
まないと前置きしている。もちろんそこに、著者なりの配慮があるの
はわかるが、当然ながら実社会ではそのような線引きはない。万人
が万人を同列に見比べる、それこそが外見の残酷さであり過酷さな
のだから、そのような線引きも、偽善を回避した偽善ではないか、と
思うのだ。
一読の価値あり ★★★★★
「容姿への不満」は、「自分は美しくあるべきだ」という根拠のない幻想が生み出す。
ありもしない自分の姿を追い求めて整形や妄想に走る人々の姿を、筆者は冷静に、
そして真摯に見つめている。
コンプレックスを解消するよりも、
コンプレックスと心中しようとするかのような彼らを見つめ続け、
その原因と終点を見届けようとする著者の、誠実な態度が印象的だった。

私は、著者がスポーツをすすめるのは安易でも短絡でもないと思う。
整形という危険な賭けや、醜形恐怖の地獄に落ちては元も子もないし、
かといって「顔じゃなく心だ」という慰めは、あまりに空虚すぎる。
メイクやスポーツという提案は、至極当然な答えだと感じた。

コンプレックスに溺れて苦しんでいる人間にとっては頼りない提案だろうけれど、
苦しみの原因がもともと 「自分は美しくあるべきだ」 という根拠のない幻想なのだとしたら、
その世界から抜け出さない限りは、どんな提案であろうとも意味がないだろう。


一点気になるのは、著者が実際にインタビューしていない人の考えを推測して
「彼女は○○だと考えた。」と断定しているところ。
こうした姿勢で成り立った本だとしたら、せっかくの主張が揺らいでしまう。
足を知る ★★★★★
美醜の問題も、最終的には「足を知る」ということなんだと思いました。
アメリカでの統計ですが、美容整形した人の方が自殺率が高いそうです。
いくら整形しても満足せず、もっともっとと整形を重ねる。
最後は絶望してしまう。
ある程度肉体の美醜も医学の対称になってしまったがための悩み。
人生とはやっかいなものです。
人間心理を理解する上で、オススメしたい一冊 ★★★★★
 著者であるジャーナリストの石井氏は、日本のように肉体労働が片隅に追いやられた社会では、“脳”と“外見”が重要だと述べています。身体コンプレックスを持つ人が急激に増えた背景には、このような経済環境の変化の他にも、超情報化があるでしょう。

 身体コンプレックスを創出するイメージ、すなわち「ボディ・イメージ」は、次の2つから構成されるようです。
(1) その人の脳に神経細胞と眼球によってインプットされた情報→自己意識
(2) 他者があなたの身体を評価している情報→対象意識
しかし、視覚情報が溢れている超情報化社会では、自己意識も対象意識も肥大し、完全に一致することはまずない、と石井氏は指摘しています。今後も、美への追求は終わることがないでしょうし、美容や健康に関連するビジネスが成長することも確実視されています。人間心理を理解する上で、オススメしたい一冊です。

気にし過ぎている事だから? ★★★★☆
この本において最も印象に残ったのは(また残るべきであると信じるのは)

ここにはないが、どこかにある、いつか手に入るという
理想の身体イメージを振り払い、自分の、その肉体の可能性に賭けること
それが身体コンプレックスとつきあう方法である

という一文だ。本書における筆者の主張が凝縮されている。

逆に、この一節さえ聞いてしまえば、買う必要がないかもしれない
なんて思うケチな自分が、星5つを付けさせないのだろうか(笑)。
無論、一読をお勧めします(笑)。

余りにも多くのレビューが「スポーツをすれば」、「外見の美醜が」
なんとやら、というところに引っ掛かっているので、書いてみました。