覚悟がせつない
★★★★★
かつて恋人だったチェコ人のカレルの展覧会を観るため、蒼史は一人プラハへ……。
そこでカレルに再会してしまった蒼史は償えと言われ、1ヶ月彼の彫刻のモデルになることに。
4年前、カレルを裏切ることでしか前へ進めなかったことを悔いながらも叱咤して歩んだ人生に終焉のときが見えた時、蒼史の望んだものはただひとつだった−−。
陶芸家の家に生まれた蒼史と若き天才芸術家のカレル。
ふたりにはお互いの魂が見える…読んでいてそんな感じがしました。
題材が芸術ですが、
文章の表現が素晴らしく、絵や彫刻たちと向かい合う様子が目に浮かぶようでした。
蒼史の覚悟が痛くて…カレルに石膏を塗ってくれと頼むところは泣けました。
ハラハラの展開に心配しながらも、
カレルとのやりとりや心情の変化もすごくわかりやすくて、いっきに最後まで読めました。
チェコ人と日本人の組み合わせは初めて読みましたが、チェコに行きたくなりました。