1961年のブルーノート第二作。重武装しながらあてどもない音像を奏でるオルガンプレイはまさにこの時代のイデオロギーそのものを
表現しながら、一歩進んだ10年先のものだった。その場を埋めるパズルであり未来への布石であった。訳が判らなくなる。本人が一番
訳が判らなくなるんじゃないか？ウィレットにはキース・ジャレットと同じ匂いを感じてしょうがない。形がなさすぎる精神。
一方もう一人の主役となるグリーンは一本気すぎる。愛するブルース。こちらは論理そのものに捉われる事を忌避してるから、音楽性に
枠がなくなる。結局ジャンル流動化した時にやってた良さが判る。この乖離した二人が演るんだから最早ジャズじゃない。けど理屈っぽい
というより理路整然としたベン・ディクソンが叩いてるからジャズなんだ。動くジャズ理論そのもの。テクニックじゃなくて平常心が
革命的だよ君。
ジミー・スミスは間違いなく天才だが、ベイビー・フェイス・ウィレットは天才すぎた。振りきれた。どっか行った。でも残ってるこの
精神は愉しいよ。キースもそうだが、見えない（理解できない）ものは愉しい。一生触れれないから一生飽きないんだ。これ以上ない出逢い
とは本来そういうもの。

とっても濃いオルガンジャズです。
日本ではオルガンジャズの人気はいまいちですが、一度聞いたらはまりますよ。
そのなかでも本作はお勧めです。
オルガンジャズの基本のトリオ作品ですし、相方がこれまた濃いグラント・グリーンです。
楽しそうにオルガンを弾いているのが眼に浮かびます。

org;BABY FACE WILLETTE
g;GRANT GREEN
ds:;BEN DIXON