時代を反映した曲に考えさせられます
★★★★☆
シュープリームス及びダイアナ・ロス&シュープリームスが活躍した時代は、アメリカ社会では50年代から続いていた公民権運動が、彼女たちが活躍した60年代も続き、ベトナム戦争が始まった時代でもありました。明るいポップス調の曲も多いですが、若き日に彼女たちが出演した「エド・サリバンショー」での「ラブ・チャイルド」や「スラムの小鳩」は歌詞の意味を知ると、当時の黒人たちが置かれていた社会的な立場もわかるような気がします。
「ラブ・チャイルド」は、このまま結婚もせずつきあっていたら、生まれてきたこどもはラブ・チャイルド(私生児)になってしまう。わたしも私生児だったから、その悲しさがよくわかると黒人女性の地位向上が歌われ、隠れた名曲「スラムの小鳩」は、貧しいシングルマザーの家庭に育った女性が、一生懸命育ててくれた母親がみすぼらしい格好をしているので恥ずかしく思い、母親は死んだと偽って、結婚してこどもを生んでもコミニケーションもとらず、自らの過ちに気づいた時は、母親は死んでしまった。最期まで自分の名前を呼びながらという、亡くなってしまった母親に対して許しをこうという涙なくしては聴けない名曲です。英語がわからないので、なんとなく雰囲気で聴いていると、その歌詞の意味を知った時に驚くことが多いです。
夢の宝箱
★★★★★
夢の工場だった60年代モータウンの、というよりも60年代アメリカンポップスの最良の部分を代表する名曲集!
とにかく音楽が好きな人なら、誰が買っても楽しめる稀有な一枚です。
ドリームガールズの歌手としての魅力はもちろん、作曲家チーム「ホーランド/ドジャー/ホーランド」の最高の仕事も堪能できます。
100年後も色褪せず人々を楽しませ元気付けるであろう、これぞ「アメリカの国宝」です。
恋はあせらず
★★★★★
ダイアナ・ロスの歌声には、ポップスの真実が隠されている気がする。
たとえばジョン・レノンの声に孤独な少年の、ロックの真実が感じられるように。
残念ながら彼女(たち)の背景には詳しくないのだが、
いにしえのモータウンのショウビズの世界でもみくちゃにされながらの、あの一点のくもりもない「声」。
それだけで、なんだかとても感動してしまう。
愛されずに育った一部の人達にとって、ポップスは愛の、
夢の代替え品として切実に求められるものだが、彼女(たち)の声には、そんな聴き手の過剰な思いもやわらかく包み込んでしまうような、
女性の性そのもののような深みがある。しかし20代の彼女(たち)は、おそらくそんな意識をすることもなく、全身を響かせて、
懸命に自分自身の輝きをまきちらしていたのだろう。
そんなことに思いをはせると、甘酸っぱい気持ちを思い出し、なんだかとても切ないのだ。
永遠を感じさせるヒット曲の数々。
★★★★☆
ダイアナ・ロスのシュープリームス時代の最初から最後までがほぼ網羅されているといえます。丁度「ドリーム・ガールス」が公開されていますし、この作品を聞いてご覧になれば一段と映画が面白く感じられるでしょう。シュープリームスのヒット曲は時代的にも60年代なのですが、ビートルズなどと同じで消えさることのない永遠なものを感じてしまいます。アメリカにおけるモータウンによる音楽ムーブメントの熱気が詰め込まれているようです。
全米No.1にならなかった曲にも傑作多し。
★★★★★
なんといっても“全米No.1シングルが12曲”、というのは、やっぱり圧倒的な記録ではある。曲番号(収録はリリース順)でいうと2から6までの5曲、8、11から14までの4曲、19、そして25、ということになるけれど、実はそれ以外の、No.1になれなかった曲の中にも、彼女たちの魅力がめいっぱい詰まっていたりするわけで(特におすすめは「二人だけの世界」「乱れるハート」、そして「スラムの小鳩」―これ、歌詞の展開がもんのすごい。ちょっとした大河ロマンばりの、娘と母の物語…。この歌詞を検証している日本語サイトもあり。検索を…―など)、たとえばNo.1シングルとなった12曲と、それらを省いた13曲とを2つのパートにわけて聴いてみたりすると、また興味が増すことうけあい。まぁ、「ポップすぎる」「ベタすぎる」などと敬遠する向きもあるとは思うけれど、彼女たちが60年代のショービズ界で空前の成功を収めた理由は、まさにそのあたりがポイントだったのではないか、という気もする。なお、12は「恋はおしまい」、17は「幸せよいつまでも」、24は「星空のラブ・サイン」が当時の邦題だった模様。21と22はテンプテーションズとの共演作だ(21は全米2位)。