一生もんの音
★★★★★
二十数年前、当時全盛のプリンスが語られる際に、良く引き合いに出されたのがスライでした。
それで興味を持ち、何枚か聴いたのですが、本作では、前作(グレーテストヒッツ)とのあまりの違いと、
その異質な音に驚かされました。
本作は、クールで沈み込むようなスライ流ファンクの魅力(というか魔力)を堪能できるとともに、
スライのもう一つの魅力であるメロディーメイカーのぶりを発揮した「ファミリー・アフェアー」や
「スマイリン」などでの極上のポップセンスを楽しむことができる名作です。
特に「ラニン・アウェイ」は、童謡をベースにしたような人懐っこい(歌詞はともかく)、いかにもスライ
らしい名曲で、後半のホーンとベースとギターのからみは、何回聴いても惹きこまれる私にとってのベストトラックです。
CDは何種類か持っているのですが、特に印象に残っているのは、一番最初に買ったCDの大伴良則氏の
解説です。その愛憎が入り混じった容赦ないコメントは、この作品とスライへの強烈な愛情を感じさせる
名解説で、有名なペットサウンドへの山下達郎氏の解説と同じくらい好きなものでした。
静かな革命
★★★★★
こよなく愛する、無茶苦茶カッコイイ音楽です。ダークでシリアスなファンクです…どこまでも、心の奥の奥まで、沈み込んでいくような。しかしメロディは涙が出るほど美しいんですよ。ヘッポコなリズムボックスが刻む、とんでもないリズム。聴いても聴いてもカッコイイ!発見がある!へどが出るほど世をはかなんでいた20代のころ、毎日のように聴いていました。
スライのアルバムの中で一番好きです☆
★★★★★
個人的にもスライのアルバムの中で一番好きです
ロック歴史上も最重要アルバムの一つ
「暴動」って和訳がイイよなあ。まず。
1曲目、
ざっくりとしたベースといかにもリズムボックスな
ドラムから入って、ワウギターや不穏な感じのコーラス、狂気じみたボーカルが絡むイントロは何度聴いてもワクワクする。
2曲目は「子どものように」というタイトルなんだが
全く「子ども」ぽくないダークな不気味さが漂う
雰囲気もすばらしい!
名曲「ファミリー・アフェア」も倦怠感漂うボーカルが
一本調子にも聴こえて、それが逆に味を加えている。
それでいて異様にテンションが高い。
このアルバム全体を覆う
気だるさ、緩さ、倦怠感、ダークさ
それがこれまでの陽気でパワフルなファンクというイメージとかけ離れていたのだが
このアルバムを聴き進めていくうち
それこそが「ファンク」の本質なんではないかという
気分にもなってくる。
というよりスライ自身の心の内面を剥き出しに
曝け出したと言ったほうが良いのか。
倦怠、退屈、無
それを音楽に転換しようとした音楽こそが、
この音数が少なくて間の多いスコア群で
そこに中毒性がある気もする。
これまで、この音楽に影響を受けたかのような音を
たくさん聴いてきた。
とにかくグレイトなアルバムであることだけは確か
カオスな時代にこそハマる1枚!
★★★★★
SLYの最高傑作にして歴史に残るFUNK金字塔のリマスター盤。
音質も向上!永久保存盤として再購入を推奨。
黒人公民権運動、ベトナム戦争などアメリカ社会が揺れに揺れていた時代に突如現れたトリックスター、SLY。
Stand!なんて意気揚々と黒人としてのアイデンティティを鼓舞していた頃のSLYの姿は、もぅココにはない。
ただ打ちひしがれ、翼をもがれ“のたうつ一人の男”が居るだけだ。
内省的で自虐的なサウンド、それが痛く美しい。
低域をカットしたようなチープでスカスカなリズムBOXに、SLY自ら演奏したと思われるヘタウマ・パートと
ドラッグでラリってるようなボーカルが乗る究極の密室芸。
スペース・カウボーイなんて、宇宙と交信してますから(壊
パッと聞いた感じでは?だけど、聴き込むにつれてコレ無しではいられなくなるような不思議な陶酔感。
そういう意味でもドラッグ・ミュージック。それもかなり強力なダウナー系(ヤった事無いけど^^)
ひたすら下に下にと沈みこんでいくダウン系FUNK。。。
ひとつの芯の周りを他の楽器がグニャグニャと絡みつきながらグルーヴを持続させていく様は
カオスの沈美を感じさせる。後にPRINCE殿下や多くのミュージシャン達に多大な影響を与えただろう問題作。
1000回以上は聴いた!、そしてこれからも聴き続けるだろう。カオスな時代にこそ必携な1枚♪
かつて聴いた作品で最も衝撃を受けたのがこれです。
★★★★★
楽器を始めて約35年、ジャンルを問わず洋楽を聴き始めて約30年になりますが、どれが最高だったか、意義のある音楽(音楽そのもの、歌詞、あるいはそれらトータル的な表現としてメッセージ性をどれほど有する)だったかと聴かれれば悩みに悩んでコレを挙げます。
当時の時代背景等々、アメリカ社会についての勉強は必要ですが、とにかく他の方のレヴューにもあるとおり、音楽的にもロックとファンクの融合を図ってきたようにアメリカ社会におけるエボニー&アイボリーの融合を切望し未来は開けるとしていた夢は全く実現不可能なのだという絶望感がダイレクトに伝わる、言ってしまえば重い作品。ただし、当時のマイルスにも多大な影響を与えたとおり、Pファンク、JBと並び賞賛されるべく“ファンク”を確立した音楽的なインパクトも前述のメッセージ性もあって相当なもの。リズムボックスを使っていながら魂、腰から発せられるグルーヴはこの作品でしか接することが出来ないものです。
こんなこと考えてたらクスリ漬けになるわなっという静かなる“暴動”なのです。相当病んでた時期の作品で、これ以降ダメになったと思ったらゾンビのような復活を繰り返す訳ですが、その後のベースの概念を変えたチョッパー(スラップ)奏法を編み出したラリー・グラハムを擁したスライ、前後の作品もさることながらどれか一枚というのであれば是非本作からその世界に浸ってほしいです。