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クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: ダイヤモンド社
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一部要約 ★★★★☆
クリエイティビティの度合いで見た場合、健康的な都市の平均順位は30位、肥満都市の平均順位は53位である。

メルティングポット指数という指標を開発し、移民比率とハイテク産業の立地との関係を調査したところ、統計的にメルティングポット指数とハイテク指数はプラスの相関関係があることが判明した。しかし、メルティングポット指数とイノベーション指数には統計的な相関はなかった。

著者の統計分析によれば、ゲイ指数はハイテク指数の推定において、どの多様性指標よりも優れている。しかし、この相関関係の意味は、ハイテクに従事する人にゲイが多いということではなく、単純に開放的で寛容な場所だということである。つまり、ゲイが集まる場所にオタクも集まるということ。

著者が開発したボヘミアン指数とは、作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を職業とする人口の比率を測定するもの。ボヘミアン指数も、ハイテク地域と相関関係がある。

著者はこれら3つの多様性指数(メルティングポット指数、ゲイ指数、ボヘミアン指数)を合成した合成多様性指数(CDI)を作成した。その指数は、当然、ハイテク指数と相関関係がある。しかし、多様性にアフリカ系アメリカ人や非白人は含まれていない。統計的には、ハイテク産業の集中度と非白人比率の間にマイナスの相関関係がある。
数少ない手本となる書 ★★★★★
創造都市論とは、都市についてなのか、それを形成する人々なのかを考えさせられる。
両者の合致点であり、解決についてのことではあると思う。

日本に於ける創造都市とは、横浜市と神戸市が積極的なクリエイティブ・コア(創造界隈の集積)を進めている。
私は仕事上、調査目的で本書に出会い、そして横浜市の文化創造事業関連部署にインタビューに赴いたが、市制の人々の関心と共通的キーワードは本書の著者のメッセージだと思う。

クリエイティブな仕事に携わる立場としては、今更分類や分析されても少々困惑するが、知的労働生産者が集積すると地域経済が変わってくるという当たり前の話でもある。

シリコンバレーのような地域といえばわかりやすいだろうか?
日本ではかつて渋谷がそのような役割を担い、確かに発展優位性があった。
行政も助成に乗り出し、光ファイバーを備えたオフィスビルなども登場したのはそのお陰である。

少々堅苦しい専門書ではあるが、たいへんよい出来であると思う。
新時代に向かった「見えない社会勢力革命」を見える化した画期的著作 ★★★★★
驚きの書です。これは単に社会経済論という話ではなく、個人個人の
生活や人生にも、大きな影響を与えます。翻って、自分をとりまく
生活環境の変化、友人知人の行動様式での心当たり、自分の嗜好の
傾向、そして、これからの自分の生き方、職業選択、生活の場所を
考えてしまうこと必至です。

我々日本人でさえ、日頃のニュース記事や仕事での人との
つながり、日常生活ではなんとなく心の奥底で感じていた
生活シーンの変化。

それを、フロリダは、多様な観点から、大変わかりやすく分析、検証し、
「21世紀の人的資本」クリエイティブ・クラスの台頭と結論付ける。

たとえば、自分のアイデンティティは、従来は、所属する会社、従事する
仕事、後ろのほうに、趣味やライフスタイル、知り合い関係などがくる。
しかし、クリエイティブ・クラスの時代では、どこを生活の場にして、
何の仕事をして、どんなライフスタイル、趣味で、最後のほうに、どこの
企業に属するか?がくる。仕事優先ではなく、トータルなライフにあった
仕事と生活の場所を選択する。
また、仕事は、一社で垂直的に自己実現しつつ、高給を目指して出世
するということではなく、水平に職業を移動していく、という嗜好。

これは、衣食住に困らなくなった豊かな社会(国家)に住み、知識労働に
従事するクラスの人々のライフパターンである。

最後の章は、クリエイティブクラスの責任を説き、これが
一部、新時代の経済を切り開く特権階級のノーブリス・オブリージを
奨励するように見えますが、しかし、そんな浅薄な話ではありません。

国富という視点で検証するとき、国の繁栄、国際競争力、その前に
地域活性化、エリア活性化のためには、
フロリダが分類したような、クリエイティブクラスが時代を開拓していく
階層であるとすれば(その結果、サービスクラス、ワーカークラスの経済
効果も波及するならば)ケインズ的な意味で、国富の再分配という観点でも
都市とクリエイティブクラスへの傾斜配分もやむをえないといえます。

いづれにせよ、米国での都市部やハイテク関係者の話が多いのですが、
フラット化した先進国世界での、彼ら(もしくは、我々日本人も含めて)
ホワイトカラー階層の嗜好、生活様式、行動様式などを具体的に、まさに
ツボにどんぴしゃりと当てはまる分析、検証をしている本書には脱帽です。
ドラッカーの予測通りになってきた ★★★★★
ドラッカーが随分前に「知識資本」「ナレッジワーカー」の時代になると予測していましたが、本書を読むとまさにその通りになってきていることが分かります。

本書では、クリエイティブ・クラス(ドラッカーのいうナレッジワーカーに相当)が台頭してきており、彼ら/彼女らが最大限に活躍できる環境を整備しているエリアが経済発展を遂げていることを、社会科学の様々な分野の知見を駆使して調査・分析することで説明しています。

また、その環境の必須条件として3つのT、すなわち技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerant)を挙げています。

社会科学の常として、複雑かつ変化する環境において、全ての要素、その重要性、関係性、因果関係を捉えきれないこと、またこれらの捉え方によって結論が変わることがありますので、本書だけを鵜呑みにすることはできませんが、今後の経済・文化・社会・個人を考えるうえで重要な視点を提供していることは間違いないでしょう。

少しそれますが、本書を読んで感じたことがあります。
それは、本書の視点が企業におけるイノベーションにも適用できるのではないか、ということです。
昨今、イノベーティブな人材、クリエイティブな人材を積極的に求めている企業は多いのですが、そのような人材が最大限に活躍できる環境を整備している、若しくは真剣に整備しようとしている企業がいったいどれだけあるのでしょうか。
いくらこのような人材を集められたとしても、企業内環境が従来のワーキング・クラスをベースとした中央集権的・管理統制的なものでは、クリエイティブであればあるほど逃げていくのだと思います。
更にそのような人たちが企業に対して抱くネガティブな印象が広まっていくと、このような人材を採用することができなくなり、結果としてその企業が衰退していく、ということが起きるのではないか、既に起きているのではないか、また企業側はそのような人たちに対する印象を悪くして採用をあきらめてしまうということも起きているのではないか、そのような二重の悪循環が起きているのではないか、と推察されます。

人と環境をセットで考えていくことの重要性を痛感させてくれる本です。

なお、本書の内容は基本的にはアメリカ国内のものですが、日本では先に出版された「クリエイティブ・クラスの世紀」では、グローバルに視野を広げて展開しています。こちらでは、グローバルレベルでクリエイティブ・クラスの獲得競争が起きており、彼ら/彼女らを惹きつけることができた国・都市が反映しているということを解説しています。併せて読まれることをお薦めします。
新しい都市経済学の原論となるべく書 ★★★★★
クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭
フロリダ教授はトロント大学の都市経済学の研究者です。これまでの都市経済学というのは交通渋滞がどうのとか街並みを欧米並みにきれいにとか、税金か公営住宅のどちっがよいかなどという話が多くて、それはそれで大事ではあるけれどマクロ的で長い時間すぎて、今一つ自分のこと、あるいは一企業の問題として捉えることができませんでした。

この本は、クリエイティビティを核に都市経済と個人の関係までうまくまとめていると思いました。そして結果的に都市経済学の新しい存在意義を高めたと思います。仕事の仕方や組織のあり方など個人的で現実的な話として、近い将来をどう考えるか、とても参考になります。私が普段感じていたことをまとめて整理してもらってうれしく思いました。大都市の集中と地方の生き残り、教育の内容や個人間の格差の問題なんかはこうした切り口がどうしても必要になってくるでしょう。ただし、クリエイティブとは言っても医師や法律家のような高度な専門家も含んでいるのはちょっと無理に思える点がある。むしろ日本では製造業内の創造性も含めないと一足飛びには変わらないと思う。それから私達に変化の実感が少ないのは居住モビリティや言語、外国人就労の問題もあって日本は既に遅れを取っていることにも注意したい。

情報社会(梅棹)、脱工業化社会(ベル)、ネクスト・ソサイティ(ドラッカー)、第三の波(トフラー)など70年代に盛り上がった未来社会論がありましたが、やっと現実のものになってきたと感じています。

訳者の井口先生は青山学院でクリエイティブ社会を研究している方で訳も読みやすいと思います。井口先生自体は青山らしくちょっとアーチスチックに偏っている気がします。まあそれは関係ないのですが・・・。それから同じ著者の「クリエイティブ・クラスの世紀」のほうは本書より落ちるので、忙しい方は読む必要はないと思う。