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食の安全と環境−「気分のエコ」にはだまされない (シリーズ 地球と人間の環境を考える11)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本評論社
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まっとうな良書 ★★★★★
メディアや政治家によって「安全・安心」と標語のように語られることのなんと中身のないことか。農薬、化学肥料、エコ、その多くが科学的でないムードによって語られている。単にムードで終わるだけなら実害はないが本来の目的を見失わせたりときには阻害さえする。

著者のようなまっとうな議論が世の中で圧倒的に少ないのはなぜなのだろうか。
食・エコ・安全分野に限らず様々な分野にまで思いを馳せさせられる、まっとうな良書である。
かつて水と空気と安全はタダだったが、今は金をかけ過ぎている ★★★★★
食は人間が生きていくうえで、基本的な生活に最も身近な環境リスクであり、生命に直結する。「食の安全」が声高に叫ばれている。良いことだが、「安全と安心」がセットで論じられ、マスコミの報道に対して食品メーカーは誤解されて致命的なダメージを受けることを恐れている。一方消費者は心情による「安心」を過大に求める。
その結果、大量の食の廃棄物、農業の生産性の低下を来しているという。また自然界の植物には動物から自身の身をまもるためになにがしかの毒を含んでいる。その毒の量が安全かどうかを定量的に、科学的に規定するのが「食の安全」という。安心という感情的な根拠のない報道には冷静に対応したい。と筆者は警告している。
遺伝子組換え食品は科学的に見れば皮肉なことに、リスクが多角的に検証されデータが蓄積し、専門家が問題ないと認めている稀有な食品 ★★★★★
著者の言いたいことは、本書のサブタイトルに痛烈に要約されています。エコバッグを持って自動車で買い物に行くような、大型の自動車やテレビのエコポイントが高いような、そんなエコが蔓延するこの国で、著者のメッセージは「エコな人々」に届くのでしょうか。

本書に引用されたルネッサンス期の医師、パラケルススの「すべての物質は有害である。有害でない物質はなく、用量によって毒になるか薬になるか決まる。」という言葉を多くの国民が理解していれば、事故米を使った焼酎を回収することもなかったはずですし、BSE対策の全頭検査も実施されていないでしょう。

日本では遺伝子組換え作物の商用栽培は行なわれていませんが、実は多くの品種が認可されているそうです。ただ、消費者が組換え作物を受け入れておらず需要が見込めないとして、種苗会社が日本で種子を販売していないというのです。ドラッグラグという言葉があります。海外で使われているのに、国内で臨床試験が実施されていないために上市のめどが立っていない医薬品が多く存在します。このままでは、遺伝子組換え作物についても「シードラグ」になってしまいます。気がついた時には遅すぎたということにならないように、著者には頑張ってもらいたいと心から期待しています。

「消費者の非科学的な判断に拠る"安心志向"は、食品添加物の持つ環境保全上のメリットをも打ち消そうとしている。食品を無駄にせず安全に食べる、という観点では、食品添加物も重要な役割を果たしているのだが、日本の社会はうまく活かせないのだ。」

科学技術立国と言いながら、非科学的な農業、食料政策を続けている日本という国は、これからどうなっていくのだろうか。
この本のように正しい情報、知識、目的に基づいた真摯な方向を模索すべき時期です ★★★★★
こういった議論を待望していました。どうもわが国においては物事を素直に受け入れるのが危険なのです。「実は」とか、「その背景にはこういったことがありましてなかなか本音の議論ができなくて」とかいう話が多すぎます。勿論その底には、日本人のパラノイア的思考、潔癖性、物事全てトレードオフという事実を感性として受け入れられないある種の幼児性があるようなのですが。地産地消は(全てではないにしても。また意識として持つのは必要)表向きはエコだが実際は経済効果狙いでむしろ環境・化石燃料節減上もマイナス、農薬・化学肥料・遺伝子組替えは悪で有機は善という単純思考(そのため化石燃料を膨大に使用する実態は矛盾しますがそういう事をなかなか言い出せない雰囲気が醸成されている)等々、著書で一つ一つ疑問を呈し、取り上げています。勿論著書はそれが誤りではないかとのスタンスから論じていますので、そこは逆に客観性を持って合理的に判断する必要はあるでしょうが、古い言い方ですが著者の科学的説明は非常に説得力があります。むしろ浮き彫りになるのは日本の農業・食品関連規制のご都合主義、絶対安全でなおかつ美味な食品を過剰に求める消費者、食料自給率と言いつつ過剰な生産・品質維持欲求、勿体ないといいつつ恐るべき量を不必要に廃棄しているわれわれ自身の意識です(極論すれば、すべての食品は発ガン物質なのですし、加速する人口増を賄うのは待ったなしの事実)。矛盾する消費者行動こそわれわれが一番顧みるべき問題点なのではないか。良質な議論には正確な知識と情報(未知数部分があるならあるで)が必須です。著書はそれを正に提供してくれます。