こういった情報をマスメディアに頼り切ってしまうことの危うさを,著者自らも新聞記者として記事を書いていた経験から,説いている.
またこういうものを助長する要素として
・「一部」のナンチャッテ学者の暗躍
・「悪いニュース」を報道することが「いいニュース」であるとされてしまう感覚.
などをあげている.
とくにナンチャッテ学者のくだりは私自身も肝に銘じなければならないものとして,熟読した.
昨今,研究者の業績が求められる中で,積極的な社会貢献が期待されている.
メディアに登場することで,社会的貢献として評価される時代.
名前が売れれば,企業などに注目してもらえ,共同研究のチャンスもでてくる.
研究費も獲得しやすくなる.
だからといって,仮説段階のものを公表していいわけではない.科学的態度を崩して言い訳ではない.
食の健康・安全情報の裏側には,多くの発信源としての科学者がいるはずである.
人間としての欲望と科学者としての態度をきちんとわけて考えていかなければならないことを思い知らされた感じがする.