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食卓の安全学―「食品報道」のウソを見破る

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 家の光協会
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ウソを見破ることができるのは自分 ★★★★★
農学部で学び、新聞記者の経歴を持つ筆者が、食品の安全について綴った本。
消費者、報道関係者、情報提供者(メーカー、官公庁)の立場を捉えて書かれているので、親しみやすい。

世にあふれるリスク情報のなかから事実を冷静に受け止め、自分で理解することが大切だと教えてくれる。
参考になるWebサイトも載っており、一般消費者の情報源として参考にできる。

後に出た新書 メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
と内容が被る部分が多いので、読むとすればどちらか1冊でいいと思う。
作られた不安や期待に踊らされないための護身術 ★★★★★
 食品の安全性や機能性についての関心は根強いものがあります。マスメディアは日々大量の情報を提供していますが、情報の質に関しては問題が多くあります。本書の導入部分ではBSE問題や遺伝子組み換え食品、無農薬食品など、比較的なじみのあるトピックスについて、一般に信じられている事柄とあまり報道されない事実をわかりやすく紹介しています。

 著者は農学を修め、かつ報道現場にも携わっていましたから、安易な食品報道の危険性を指摘する一方で、そうならざるを得ない報道現場の事情も紹介し、著者も含め報道に携わる方々の苦悩にも誠実に触れています。

 本書は2005年に発行されました。翌2006年にはTBSの「ぴーかんバディ!」で紹介された白インゲン豆ダイエットにより集団嘔吐・下痢問題が発生しました。さらに2007年の関西テレビの「あるある大辞典II」における捏造報道問題はまだ記憶に新しいところです。健康情報バラエティ番組は鳴りを潜めていますが、「健康に良い」という機能性を謳った食品の人気は健在です。

 食品の安全性や危険性について科学的に白黒をはっきりつける事はそれ程簡単なものではありませんが、科学的な研究成果によって様々な規準が作られ、それによって食の安全が向上したことは事実です。本書は科学者の視点と消費者の視点をうまく織り交ぜながら食品の問題を解説していますから、本書によって、マスメディアからの「これは良い」「あれは悪い」という二元論的な情報に一喜一憂することも少なくなるでしょう。また、食料自給率の問題など、より長い目で見た場合の食料問題について気づかされることになるでしょう。

 食の問題を科学的かつ平易に解説した類書として、同じ著者の「メディア・バイアス」や、高橋久仁子さんが「フードファディズム」について書かれた本があります。いずれも良書です。
全般的なメディアの信用性についても語っている ★★★★☆
 『あるある』や、みのもんたもののようなバラエティ健康情報番組を全般的に信用する人はもうおるまいが(それでもビートたけしの病気番組はまだ信用されているようだが)、新聞や学者の発表となれば、まだまだ手放しで信用する人も多かろう。
 著者は元新聞記者であり、全ての記事が、物事の全体を検証した上で事実を捻じ曲げずに書いているわけではないことを知っている。
 冤罪であっても、逮捕されれば容疑者の言い分でなく、警察の公式発表やリーク情報のみを全面的に記事にしている例をもってしても、全ての記事を読者は再検証(審査するわけではないので、“査読”とは書かぬ)してみねばならぬことは“必然”であり、本書はそのために見比べるべきサイトも表示してくれている。

 食・環境・健康は、密接な関係にあり、一つの事例がどのように関わってくるのか判り辛い面もあるが、本書を参考に新聞などで情報を得、自ら調べる姿勢を多くの人がとれば、メディアも良質な情報を提供せざるを得ないのだが・・・
自分で調べ、考えることの大切さ ★★★★★
著者の名前は「まつなが・わき」と読む。そう、女性である。プロフィールには、「主婦として母として…」と書いてある。

さて、本書ではまず、近年の食品関係の報道事例を挙げて、それがいかに誤解を招くものであるかをときほぐしていく。続いて、著者自身が新聞記者を10年務めた実体験から、なぜこのようなセンセーショナルな、あるいはその道のプロからみれば明らかに誤った記事が生まれるのかの舞台裏を明らかにする。

そして、新聞・テレビ報道の「情報の早さ」には一目置いた上で、記事の真偽を判断するためのコツ、特に、情報の出元に遡ることの大切さを説いていく。官公庁・企業・研究所の記者発表(プレスリリース)はいまやインターネット経由で直接読めるし、高校程度の英語が読めれば(これが一般人には難しいのだが…)『サイエンス』『ネイチャー』のオンライン版など、学術論文の原典にも挑戦してみるべきだという。

本書は、タイトルは「食卓の安全学」で、具体例ももちろんほとんどが食品と農薬関係の話なのだが、副題「『食品報道』のウソを見破る」の通り、核心は報道とのつきあいかたである。これは食品以外の報道にもそっくりそのまま当てはまることばかりなので、たとえば新聞を教材として使おう(Newspaper in Education=NIE)という学校の先生方にも読んでほしい。

個人的に好感を持ったのは、「英語の有名雑誌に論文が掲載されても、学術界での点数稼ぎにはなるが現場の人が読んでくれないので、あえて無名の日本語の雑誌に投稿する」という気骨のある研究者がいる、という何気無い一節。きっと、生産現場にも足繁く通っているのであろう。こういう人には頭が下がるばかりだ。
食をキーワードとしたメディア・リテラシー論 ★★★★☆
食をキーワードとしたメディア・リテラシー論といっていい本.
世の中に浸透している
「昔からある食品=自然=善」VS「科学技術=人工的=悪」
というイメージによって,作られるさまざまな食にまつわるいかがわしい話を,どういかがわしいのかを示しながら紹介している.たとえば,無農薬・有機農業,遺伝子組み換え作物,BSE騒動,環境ホルモンなどなど.

こういった情報をマスメディアに頼り切ってしまうことの危うさを,著者自らも新聞記者として記事を書いていた経験から,説いている.

またこういうものを助長する要素として
・「一部」のナンチャッテ学者の暗躍
・「悪いニュース」を報道することが「いいニュース」であるとされてしまう感覚.
などをあげている.

とくにナンチャッテ学者のくだりは私自身も肝に銘じなければならないものとして,熟読した.
昨今,研究者の業績が求められる中で,積極的な社会貢献が期待されている.

メディアに登場することで,社会的貢献として評価される時代.
名前が売れれば,企業などに注目してもらえ,共同研究のチャンスもでてくる.
研究費も獲得しやすくなる.
だからといって,仮説段階のものを公表していいわけではない.科学的態度を崩して言い訳ではない.

食の健康・安全情報の裏側には,多くの発信源としての科学者がいるはずである.
人間としての欲望と科学者としての態度をきちんとわけて考えていかなければならないことを思い知らされた感じがする.