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九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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グリム童話の新解釈と九通りのアリバイ崩しという縛りが設けられた連作短編集 ★★★★☆


グリム童話の新解釈になぞらえて、事件の容疑者を特定し、しかる後に、
アリバイトリックの九類型に基づくアリバイ崩しが行われるという趣向が
採られた連作短編集。



■「ヘンゼルとグレーテルの秘密」

  元ネタから犯人はバレバレですが、現場にアドレス帳が存在しなかった
  という伏線はなかなか秀逸。また、犯人に死体を丸焦げにさせることで、
  トリックを補強するだけでなく、童話ともリンクさせているのが素晴らしい。



■「赤ずきんの秘密」

  ミステリと童話を結び付ける、被害者の顔にかけ
  られていた赤ワイン、という不可解な痕跡が秀逸。



■「ブレーメンの音楽隊の秘密」

  二つの物理トリックを組み合わせた放火殺人。その内の一つは××に前例あり。



■「シンデレラの秘密」

  メインとなるアイディアは、前例のあるものですが、
  それをアレンジし、目撃者を設けたのが美点です。

  “靴”と“灰”というシンデレラにまつわる小道具の扱いも巧妙。
  特に、〈灰皿はせこかった〉という伏線が異彩を放っています。



■「白雪姫の秘密 他四編」




グリム童話の新解釈と九通りのアリバイ崩しという縛りが設けられた連作短編集 ★★★★☆


グリム童話の新解釈になぞらえて、事件の容疑者を特定し、しかる後に、
アリバイトリックの九類型に基づくアリバイ崩しが行われるという趣向が
採られた連作短編集。



■「ヘンゼルとグレーテルの秘密 他三編」



■「白雪姫の秘密」

  トリックはお粗末ですが、エグい真相は印象的。



■「長靴をはいた猫の秘密」

  トリックは中々よくできていますし、それを可能ならしめる、
  犯人の属性にまつわる伏線も、フェアに張られています。



■「いばら姫の秘密」

  心理的なトリックですが、少々無理があるようなw
  ただ、被害者のストーカーは、いい味だしています。



■「狼と七匹の子ヤギの秘密」

  結構手の込んだトリック。作中の幼稚園児が純真すぎるような気もしますw



■「小人の靴屋の秘密」

  連作を締め括るためのサプライズが仕込まれています。

  これまでの八編で踏襲されてきた“お約束”が真相究明のための手がかり
  となっている点や、本作のモチーフである××にまつわるあるモノを作中に
  取り込んでいるのが秀逸です。




読みやすいです ★★★★☆
論理で謎を解いていく方式は
氏の「邪馬台国はどこですか」に通ずるものがあると思います。
個人的好みとしてはもう少し膨らんだ書き込みだったら
もっと魅力的にも思うのですが
ヒロインの東子さんの凛とした佇まいといい
日本酒の蘊蓄といい
読みごたえはあると思います。

「アリバイ講義」の実践編 ★★★☆☆
本書は九つのグリム童話に隠された真実(?)の裏解釈とともに、事件を解き明かすという趣向である。しかしそれらは表面的な見方に過ぎず、本書の真価は、有栖川有栖のアリバイトリックの名編『マジックミラー』の中の「アリバイ講義」で9種類に分類されたアリバイトリックが、九つの事件すべてに用いられているというところにある。したがって、本書を読むより前に、まず『マジックミラー』を読んで欲しい。

しかし、本書の試みは大いに意義があるものの、肝心の作品の出来に関しては、推理作品としても読み物としても「可もなく不可もなく」といったところである。

グリム童話の裏解釈も、「ヘンゼルとグレーテル」や「七匹の子ヤギ」、「赤ずきん」など既に他でも聞いたことのある内容のものが多く、著者のオリジナルとは言いがたい(宮部みゆきも、本書の作品の多くがオリジナリティに欠けると評している)。また、これらの童話の裏解釈は単に作品の中で語られているに過ぎず、個々の事件と有機的に結びついていない。
その点で本書は、「この橋渡るべからず」や「屏風の虎退治」など有名なエピソードの裏解釈を自然に織り交ぜながら、一休さんが事件の謎を解く『金閣寺に密室(ひそかむろ)』には遠く及ばない。

また、日本酒の薀蓄を評価する人もいるが、ミステリーには関係がないことで、酒飲みでもない私にとってはどうでもいいことである。
バーミステリー ★★★★☆
とあるバーに持ち込まれるグリム童話になぞらえられた事件。
その解決をするのはバーに通うメンバーたち。

個性あるキャラクターたちの人間関係の進展も本書を読み進めるうちで、
見過ごせない楽しみとなっている。