モダン・アート
価格: ¥824
アート・ファーマー&ベニー・ゴルソン・コンビといえば、1959年に結成した3管編成のジャズテットが有名だけど、本作はその前身バンドともいえるクインテットによる58年の録音。ファーマーのアルバムの中で、誰が選んでも間違いなくベスト3に入るだろう代表傑作だ。
ファーマーは同じ58年に録音されたソニー・クラークの人気作『Cool Struttin』に参加していたが、ここでのファーマーは、なんとなくそれに通じる味わい。ともにファンキー・ジャズだからだろう。しかしただのファンキー・ジャズではない。ファーマーが吹くと、そこに独特の哀感が加わり、極上の味わいが生まれるのだ。ゴルソンとの相性も抜群で、両者が奏でるハーモニーも美しい。60年代以降のファーマーはあまりトランペットを吹かず、もっぱらフリューゲルホーンを多用して叙情的な演奏を行なったが、本作は50年代録音とあって、ハード・バッパーとして元気にトランペットを吹くファーマーを堪能できる作品。ピアノがビル・エヴァンスというのも興味深い。(市川正二)