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資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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著者の意見をもとに考えさせられる ★★★★☆
著者の意見をもとに考えさせられる一冊。

構造改革がなぜ失敗したかを
日本の歴史・文化的背景や人柄を交え語られている。

現在社会を読み解く上で
参考になる意見の一つであろう。

日本人の長期的信頼関係を重視する心や
競争効率社会が馴染まない点は
納得させられる。
資本主義は最悪である ★★★★☆
まず、間違ってはいけないのが
著者は資本主義を完全に否定しているわけではないことと
資本主義が根本的に崩壊したわけではないこと。
批判の対象は現代の「アメリカ型資本主義」の話であり
社会主義が素晴らしいという話にはなっていません。

自由を追い求めた結果、何が起きたか?
格差の拡大や環境の破壊などを挙げています。

もう、アメリカ型資本主義を手放しで礼賛する時代は終わり。
チャーチルの言葉を借りて言っている
「資本主義は最悪なシステム。今までの他のシステムを除いては。」
という通り、問題点も考慮しながら今後のシステムを構築するべきだと思いました。

ただ、「異常犯罪の増加」という言葉が何回も使われているのですが
言葉だけであまり触れていなかったように思われます。
反面教師としてはいいと思います ★☆☆☆☆
 本書、前半は非常にいいと思います。つまり、現代社会は一部の金持ちが収奪的利益を得る反面、
大多数は格差社会の下位層に位置するという見方です。しかし、その後の結論は、非常に受け入れがたい
ものです。(スティグリッツもそうですが、批判が鋭い人は、対案の提示ができません。批判だけですね。)

 結局、北欧型の極端な高福祉政策「と地方分権?」(とってつけたとしか言いようがない飛躍ですが)が
解法だそうですが、北欧ですら高福祉政策を支えきれずに広義の社会保障を縮小しつつある現状は全く
介さず、「過去の資料ばかりから」理論を引っ張ってきます。そもそも豊かな黄金世代のアメリカは…、
基軸通貨として恩恵を受けたドルは…、一切未来を見ずに出してくる結論です。

 現代の経済成長の行き詰まり、これはかなりの部分が人口成長(≒若さ)によるとされています。
もう少しかみ砕くと、就労者と年金受給者の社会での割合と見ることもできます。金を使い惜しむ老人
が多数の社会で、民間の経済が拡大しえないのは自明で、北欧では就労人口シフト(≒定年の延長)に
より、経済を安定させようとしている中、自身も老人の著者が、そのことには一切触れず(見たくない
のでしょう)に米国批判ばかり、なさけないとしかいいようがありません。

 なお、著者は曲解していますが、そもそもa)金融機関が極端で無責任な短期的収益を目指す指向、
b)それによる金融危機は、ほぼ20年おきにおこっている、ありふれた話です。(一例として、Citiは
80年代にも中南米向け債権の焦げ付きでも、倒産寸前になりました。)これは、アカデミックな世界
では普通に議論されている話で、この種のなさけないrecurrenceにガバナンスはどうなのか、あるいは
監督官庁のregulationの方がいいのか、そもそも金融仲介機能という経済の中核をになっているからと
言ってモラル・ハザードを招きかねない「毎回救済」は仕方ないのか、普通に議論がされます。
  ※著者は米国留学で何を勉強したのでしょう?

 こういった批判ができるようになる材料、つまりサンドバックとしてはいいかもしれません。

 なお、著者が(この年代特有の)コンプレックスで無視する重要な経済的ファクターをあげますと、

  1.日本は世界第2二位の経済大国=内国経済の規模が大きいので、EU域内各国と違い、
   経済開放をしなくても、「ある程度の」経済活動をすることができます。(だから鎖国でいいと
   いう話ではもちろんありません。)
  2.日本は先進国中でかなり速いペースで高齢化が進みますが、数年のうちにトップの座を逆転
   されます。それは中国です。(なぜか文中、ほとんど中国への言及がありませんが。)
  3.広義の税負担(社会保障費を含むので)について、欧州ではおよそ50%以上、日米で30%台
   です。(韓国も低い方です。)この日米の税負担の軽さが、(ワークシェアリングで)沈滞して
   いる大手先進国経済よりも、会社の長期的存続(つまり、著者が極端に重視する「社会的
   安定」)を容易にしているという指摘もあります。
  4.あるいは、大きな政府のためには、極端な(倍近くの)税負担の拡大というなら、「比率」の
   影響の考察が不可欠です。(1%と90%アップで、どう考えても結果は違うはずです。)
  5.日本は金融危機(俗にいうサブプライム問題)で、同債権へのexposure(≒リスク負担)が
   先進国中もっとも低く、今回非常にうまくすり抜けました。しかもこれは、福田政権下に
   おいて同債権へのexposure(≒出資比率)を減らす「行政指導」によるもので、当時銀行から
   「時代錯誤」と痛烈に批判された手段です。

つまり、日本経済にも欠点はいくらでもありますが、利点や、少なくとも欧州各国よりも有利な点は
いくらでもあるにもかかわらず、この手の人は一切無視の、米国コンプの悲観論ばかりです。

 あるいはキーワードで言うと「inevitable」です。だれもこんなグローバル競争を望んでいませんが、
冷戦時に西洋市場に背を向けていた旧東欧・第三世界の発展途上国が市場に参入し続ける以上、
こちらもがんばるしかありません。これは著者の世代では「平和の配当」と言われたものですが、
これも著者は全く解説をしません。この世代が無責任に宣伝した幻想ですから。
底が浅い ★☆☆☆☆
内容の底が浅い。つまり作者の思考の浅さが露呈してしまっている。どこぞの大学の教授やどこぞの企業の社外取締役をやっていたそうだが、そんなことをしているうちに自分が教養人とでも錯覚してしまったのだろうか。所詮すべて受け売りで内容がない。深い考察もない。がっかりした。おわってから、なんとでも言うのは簡単だ。そしてまた上から目線。もう読む気はしないが彼の他の著作も大方こんなレベルだろう。昔、アメリカに行って受け売りの学説を日本に広めた一派だろう。まあ、時代から言えば仕方ないが、哲学、思想、そういったファンダメンタルな勉強をしないまま、アメリカに行ったらこうなってしまう典型だろう。少し思想をかじった人なら軽蔑してしまう本だ。
日本の“構造改革”を振り返る際にこれからも読んでおくべき本では ★★★★☆
本書が刊行された時には、色々な意味でだいぶインパクトがあったようです。
ほとぼりの冷めたこの時期に読んでみました。
中谷氏の“転向”やら“自戒”といった点に注目が集まったようですが、ビジネス書として素直に面白かったです。

第三章のポランニーの見識,第四章のアメリカ考察、第五章の日本文化の特質、といった点の記述は、
とても興味深く、「こんな見方もできるなんだな」と私にとっては新しい視点になりました。
ただ、個別施策の提言である第七章は、流れがここで切れてしまった感もあり、蛇足だったかもしれません。
「日本」再生への提言がサブタイトルですから、書かないわけにはいかなかったとは思いますが。

本書執筆の中谷氏の思惑は置いておくとして、“構造改革”のもたらしてきたものを振り返る際に、
これからも読んでおくべき本だと思います。