インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

野上弥生子短篇集 (岩波文庫)

価格: ¥693
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
最高だ ★★★★★
【茶料理】は素晴らしいです。
学生時代に恋心を抱き合っていた久子と依田。
二人は結ばれる事なく、それぞれ別の家庭を築きます。
依田の洋行を新聞で知った久子からの連絡で二人は再会するのですが・・・
結末は本当に心震えます。
芥川龍之介の【秋】に似た、本当にグッとくる恋の話です。
若き日の久子の若さゆえの恋の稚拙さ、その心理描写。
成熟した後も引き摺るその純粋さ。
まさにこれこそが文学だと思わずにはいられない。
他に収録されている短編ももちろん素晴らしいです。
私は古風な恋の物語が好きなので、本作品を主にレビュー
させていただきました。
いま読んで新しい野上弥生子 ★★★★★
05年末に九州の旅をしとき、いまだ明治初期の面影が残る大分県臼杵の町を訪ねた。この町の造り酒屋の二階で古典に親しみながら、当時の最先端へ、東京への夢を膨らませていた15歳の少女は、1900年に上京し、ほぼ20世紀の末まで生きる。

この短編集を読んで驚いた。ひとつひとつの文章が全く古臭くないのだ。「明月」の発表は1942年1月だが、女友達が三人集まって打ち明けるとっておきの怖い話。「死」は1914年の作品。これも文章は「明月」と全く同じ現代文であり、現代人が読んで<注>を必要とするような所はなく、事実無い。

文体が新しいだけではない。作者の視線が現代的なのである。

「哀しき少年」は1935年(昭和10年)の作品。
小学生の隆は少し変わった少年だと思われていた。数学以外はなぜか勉強しようとしないのである。「僕いやなんだ。先生でたらめを教えるんだもの。」隆は思う。「修身ではいつも叱られているか、あてつけられている気がした。歴史でみんな楠木正行にならなければいけないと激励されると、隆は困ってしまった。彼には正成のようなお父さんはいなかったし、顔さえ覚えていないのだから。しかし手を上げてそういったら、睨みつけられた。」(147P)隆はその後中学に入り、軍事教練の授業から逃げだす。それだけの小説である。それだけだけど、そんな小説を1935年に書いていることに驚きを禁じえない。実は、読んでいるときはずーとこれは戦後の作品だと思っていた。