味の船 小料理のどか屋 人情帖 : 9 (二見時代小説文庫)
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もと侍の料理人時吉に病床の殿が最後の願い。
あくまでも包丁人として、深い縁のある殿に……遠い国許で身罷られる前に、江戸の料理をいま一度召し上がっていただきたい
山間の小藩、大和梨川藩城代組小頭の磯貝徳右衛門は、故あって武士を捨て江戸に出、料理人時吉となった。今は女房のおちよとともに岩本町にその見世ありと評判の小料理のどか屋のあるじである。そこに常連の二人の大和梨川藩士が顔を見せて、相談事があるという。遠い国許で闘病中の藩主に、身罷られる前にもう一度、江戸の料理を食していただきたいというのである。