ある程度各国農業事情に通じていると読みやすい
★★★★☆
地域コミュニティ創造や都市農村交流等の面で注目されるグリーン・ツーリズム、元々盛んだったヨーロッパの事例、そして我々が当事者である日本国内の事例は数多く出版されているが、アジア諸国の事例についてまとめた文献はおそらくこれが唯一だろう。
農家民宿の素地や、都市から田園への「逃避」の下地のあったヨーロッパと、高度成長期に農村から都市への一大人口流動の波が一気に起きた日本も含むアジア圏とでは、農村におけるツーリズムの起源も現状も異なるはずで、これまでアジア諸国に焦点を当てた事例が報告されていなかったこと自体が疑問ではある。
内容は各国の農業事情にある程度通じていることを前提としたものであり、グリーン・ツーリズムそのものに関心を持っていても農業そのものの知識が薄い読者には若干物足りなさを感じそう。
より詳しく知りたい向きには、アジア各国の農業についての参考文献を用意して読むのが望ましいだろう。