映像と音声はすこぶる良い。踊りも違和感無く素晴らしいと思う。
演奏は個性無く平凡で大変つまらなかった。同じドリーブ作品のコッペリアに比べてこの作品は音楽的にかなり平凡ではあるし、
一流の指揮者が指揮しない、指揮者が指導的立場で演奏できないバレエでは仕方ないか・・・・。
・・・だからバレエは芸術的に価値が低いと昔から見なされがちなんですね。「そんな演奏では踊れない」とか素人じみたことを言っていないで、バレエ業界もその辺は考え直した方が良いと思わされるDVDだ。

オペラ座のシルビアもそれはそれで素晴らしいのですが、ロイヤルのアシュトン版を観るとドリーブの音楽の素晴らしさが改めてわかりました。

ダーシーのシルヴィアは素晴らしい。あの長身で手足の長さがとてもよく生かされて、特にアテチュードのポーズが素晴らしいです。勇敢で美しく、そしてどこか憎めないかわいいシルヴィアでした。大変役になりきっていて、ホットなシルビアでした。

ボッレもギリシャ彫刻のように美しく、私が持っているＤＶＤのアルブレヒトやジークフリードよりアミンタ役がぴったりだったと思います。踊りがとてものびのびしていてノーブル且つダイナミックでした。
ダーシーとボッレは、とてもいいパートナーシップです。踊っていて、二人の間に本当に愛情が生まれているような観ていてこちらまで幸せな気分になりました。他の作品でもこの二人ので組んでいるものが見られないのが大変残念です。

エロス役のマーティン・ハーヴェイも美しく役に合ってましたし、
オリオン役のティアゴ・ソアレスもエネルギッシュな踊りで本当によかったです。

ドリーブの壮大な曲にマッチした華やかで荘厳な舞台で、楽しめました。

ドリーヴの代表作ながら、コッペリアに比べ、上演機会はおろか、ＣＤ、ＤＶＤも極端に少ない作品でした。しかし、その美しく魅力的な数々の音楽は我々を魅了すること請け合いで、「あれ、この曲はシルヴィアだったの？」という有名曲も多いんですね。このような作品は、下手に現代的な演出を施さず、まず、原作に忠実な演出で観てみたいなあとずーっと思っておりました。そんな方には自信をもってお勧めできる素晴らしいＤＶＤです。そして、ただ単に、古典的名作を映像化してくれたという価値のみならず、豪華なコヴェントガーデンの劇場の雰囲気、演劇好きな英国らしい舞台装置、衣装、そして舞踊とオーケストラの演奏のどれもが観る側の充分な期待に応えてくれるはずです。全曲版なのも貴重です。難点を挙げるとすれば、日本語説明がないことくらいでしょうか。

このDVDは'05年12月にCoventGardenで上演された公演の映像。は何といっても音楽が最高に魅力的で、作曲者Delibesの手腕の素晴らしさを実感出来る。＜胡桃割り＞と同様に、音楽に相応しい振付が為されなければ、成功しない作品の一つだろう。この公演は1876年のL.Merante振付の初演版ではなく、1951年に制作されたF.Ashton版である。上演される事が稀で、全幕公演の映像も今までなかった作品（L'OperaのNeumeier版は別）、素晴らしい音楽、音楽を良く理解しているAshtonの難度の高いけれども芸術的で洗練された振付、それらを見事に踊りこなす舞踊家達（揃わないと良く言われるRoyalの群舞も、出出しこそ不揃いだったが、１幕途中から纏まり見事なアンサンブルを見せてくれた）、リアリティに徹した美しい舞台美術・衣装を鑑賞出来た事は幸運と言えるだろう。特に主演のD.Bussell・R.Bolle、彼等は殆ど初めて組んだと思うが、それを感じさせない見事なパートナーシップを形成していたし、Ashton特有の細かい足裁きの振付をさりげなくこなすのも見ものである。また、長身の２人が並ぶだけで絵になる。敵役OrionのT.Soaresの野性的な踊りと性格描写も素晴らしい。それだけなら、何の不満もある筈がない。では、全幕を観終わった後、感動に浸れたかと言うと疑問である。その原因は唯一つ、演劇の視点から見て、この作品の台本が余りにも平凡だからである。筋書きの展開を追うなら、同じDelibesの音楽によるの方が格段に面白い。このは、筋書きの面白さで視聴者を惹き付ける作品ではなく、見事な舞踊の饗宴で惹き付ける作品だろう。視聴者は、心行くまでこの＜舞踊の饗宴＞を堪能する事で十分である。

主演のダーシー・バッセルとロベルト・ボッレは絵に描いた様な美しさで文句のつけどころがありません。
バッセルは背が高く、シルヴィアの気品と威厳十分ですし、ボッレはまさにギリシア彫刻そのもの。テクニックを、ひけらかす　ダンサーがよくいますが二人ともそんなことはなく、でもさりげなく素晴らしいテクニックを見せてくれます。

ロイヤルはコールドがそろってないとよく耳にしますが、そんなことはなかったです。

シルヴィアの全幕は初めて観ました。DVD自体も少ないと思います。オペラ座のは現代風にアレンジされてしまってますし、クラシックの全幕ものは貴重だと思います。ましてやバッセルは引退してしまったのでなおのこと、このDVDは大切にしたいと思います。

新しい映像なので綺麗だし音もいいです。

難点はDVDのメニュー操作時のアニメーションがもたついて多少イライラしたくらいです。