「評伝」ではないが、塚本短歌の原点を垣間見ることができる
★★★★☆
現代短歌を変えたとも言われる塚本邦雄の青春時代を中心に
主に作品解説をメインに筆を進めていく。
その意味では、「塚本邦雄はナニモノだったのか」という人物評伝ではない。
個人的には、たとえば寺山修司の評伝が無数にあるように、
没後3年、塚本邦雄の評伝が出てもおかしくはないと思うし、
出版されたらぜひ読みたい。
本書は、「水葬物語」でデビューする以前が、メイン。
いわば「歌人・塚本は、いかにして誕生したか」を探る本である。
総合的な評伝としては物足りないが、
塚本邦雄の原点を垣間見ることのできる得難い1冊かも知れない。
難解と言われる塚本短歌だが、気合(?)を入れて読み込めば
何とも言えない世界が見えてくる。
塚本邦雄は歌人である前に「詩人」だったと痛感させられる1冊でもある。