青木雄二の血と肉
★★★★★
「ラテン喫茶の頃」など、短編ではあるが彼ならではの「青木節」が満載の一冊である。
短編であろうと長編あろうと、結局のところは代表作「ナニワ金融道」でも描かれているような、社会のからくりや現実をさらすのが彼の漫画の魅力だ。
その論を支えている「マルクス主義」の根幹は、どの作品のの節々からも読み取れる。
「ローカル線」で描かれている岡山の山奥の風景、また他の漫画で描かれている大阪での暮し…どれも彼の経験から滲み出ているから、彼の作品は彼の血や肉のようなものに思えさえする。
なにわのマルクス
★★★★☆
短編集。死ぬほど荒れた絵柄に、びしっと一本筋の通ったテーマ性。
いろんな仕事を転々として社会の裏の裏まで見てきたオッサンが描いた
珠玉のマルクス主義マンガ。
こういうものを読むと、マンガというものはもっと、性別・年齢・職業問わず
いろんな人がいろんな立場から描くべきなんだなあ、と思う。
青木雄二の原点。超おすすめ!
★★★★★
現在、残念ながら自ら漫画の筆を取らなくなった青木氏の『ナニワ金融道』以前の作品群。どの作品からも作者の豊富な人生体験と鋭い人間観察から滲み出す味わい深さが感じられる。特に巻末の「悲しき友情」は『ナニ金』と同時期に「ヤングサンデー」に短期連載されたもので、営業用の『ナニ金』に対して本音版青木雄二思想漫画といった趣きである。『ナニ金』愛読者には是非こちらも読んでもらいたい。
又、私のような大阪(市内)在住者にとっては漫画の舞台が殆ど何れもよく知っている場所なので、その点でもリアリティがあった。