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「脳科学」の壁 脳機能イメージングで何が分かったのか (講談社プラスアルファ新書)

価格: ¥880
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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著者の数だけある「脳科学」? ★★★★★
「本書は、脳科学に対する一般に流布している誤解を解くことを目的にして書いたものである。
(中略)脳科学という魅力的な言葉をまとって、科学でもなんでもないことが真実のように語られている状況が続けば、(以下略)」
と著者は「はじめに」で述べています。

そして、養老孟司氏の「唯脳論」と春山茂雄氏の「脳内革命」について、
「たぶん養老氏の推論は間違っている。」(p40)
「『脳内革命』は、その科学性レベルは骨相学と同程度といってよい。」(p41)
と説明しておられます。

あと100年もすれば、今日(こんにち)の「脳科学」はすべて否定されているかもしれない、と思いました。

テレビで言っていることなどを鵜呑みにせず自分の頭でよく考え、
毎日本を読み、
毎日運動をし、
毎日日光にあたり、
毎食腹八分目の食事をしていれば、
「脳科学」など必要ない、と思いました。

脳科学は応用段階には来ていない ★★★★★
少なくとも、健常者が何らかのトレーニングをして「脳を鍛える」ことが可能となるような知見は、脳科学からはまだ得られていないということが分かりました。

脳科学の系譜を、デカルトから説き明かしています。そして、似而非脳科学を振り回した本として『脳内革命』『ゲーム脳の恐怖』を挙げた上で、一見科学的に問題がないように見える、認知症の人たちのための「学習療法」についても、実は脳科学的根拠などないのだということが示されています。(学習療法の提唱者については「一人の日本の新進気鋭の脳機能イメージング法の研究者」として名前を伏せて書かれていますが、ちょっと調べれば、「脳トレ」の監修で有名になった川島隆太氏であることは分かりますね。脳トレも、正体を知らないままにうさんくさいなあと思っていましたが…。)

そのことの前提として、脳機能イメージング技術の仕組みと限界についてわかりやすく説明してあり、勉強になりますが、やはり一番重要なのは、脳の機能についてはほんの少し分かっただけで、全体像などはまだ全然分からないということです。ましてや、それを元にした応用などできるはずがない。そして、測定技術を工夫して見えてくるものを短絡的に判断してはいけないのだ、という教訓も得られます。こうやって似而非科学が生まれるという面もあるのですね。

最後に、脳機能イメージング技術がADHDやアスペルガーなどの発達障害に光を当てる可能性について書かれていますが、これは否定的なことを中心に書いたことへのフォローという感じが強いです。帯ではその辺が強調されていますが、本書の主眼はそこにはないですね。

ついでながら、マスコミ・大衆出版界には、他にも数名、「脳科学者」を名乗る人が露出していますが、本書には名前すら出てきません。問題にしている部分が重ならないからなのかも知れませんが、名前を伏せてでさえ、引き合いに出す価値がないということなのだろうか、と邪推してしまいます。
「わかること」と「わからないこと」 ★★★★★
人間は「なぜ?」という問いをする動物である。その行動が、どういう風に脳研究へと繋がったのか…というのを、デカルトの哲学から、骨相学の流行、そして、『脳内革命』などのブーム、脳機能を調べる機器の開発へ…という流れで説明していく。その中で、開発された機器の説明。その長所と短所、それを踏まえての、「ゲーム脳」や「学習療法」などと言うような言説にある理論の飛躍における問題点の指摘。そして、その上で、「現在の」脳科学によって分かるものはどれなのか? それをどのような形で活かすことが出来るのか? という形でまとめられる。
とにかく、本書を読んでいて、わかるのは、「脳」についてはわからないことが非常に多い、という点であろうか。確かに、PETやfMRI、脳磁図などにより、行動中の脳の血流の動きであるとか、明らかになってきたことは多い。しかし、多いものの、それでもまだわからない。デカルトの時代からの「意識はどこにあるのか?」という命題は、全くのブラックボックス状態と言える。しかし、そのような中で、過大な「社会的な有用性」を期待されるのは、却って様々な問題を引き起こすのではないか? という著者の危機感は、非常に説得力がある。本書でも綴られている「ゲーム脳」「学習療法」などの問題点は、その典型と言えるだろう。
恐らく、本書の知見は、数年後、遅くとも10年後には「古い」というものになるだろう。しかし、そうなったとしても、メッセージの1つである「確実にわかることはこれ」「ここからは可能性がある」「ここからは全くわからない」というものを整理して、慎重に研究を行う、ということの重要さは不変であろう。そして、それは脳科学、医学にとどまらず、あらゆる分野にとって重要なことであると思う。
本物の科学的視点と考察 ★★★★★
本書では、私たちがメディアから得た情報で信じ込む中で、科学的に証明されていないものがあったり、論法自体に飛躍があったりする実例を、真実の科学的視点と考察で冷静に書かれています。

私はその実例論破も興味深かったのですが、それ以上にこのように冷静に理路整然と書き進める著者の姿勢、真理を求める真摯な本物の専門家としての姿勢に最も感動しました。それでいて、著者の頭の良さを嫌みでなく表現できるその人間性の幅。本物の科学者(医師も)、学者とはこうあるべきだなあ、と感嘆しました。

特に、大学院などで論文研究をしている、科学的視点を養うべき人に最適な書の1つだと思いました。

格好いいこと、だれでも飛びつく話題性のある、ただし内容はかなり怪しい、そういうことだけで世の中を渡っていこうとする「似非」研究者や学者との違いを理解する点でも、良書だと思います。

本の内容自体へのコメントと言うより、著者のすごさへのコメントです。

安易な脳科学研究解釈への警鐘 ★★★★★
今の脳科学でわかっていることは、計算などをすると脳の血流が増えることぐらいで、
認知症の進行を遅らせるなどということは完全に科学的に証明されているわけではないということが、
本書を読んでよくわかった。

素人とプロ・ピアニストがピアノを弾いた時の脳血流を比較すると、
素人では脳血流が増加するがプロ・ピアニストでは特に増加しなかったそうである。
さらには、音読や計算による前頭葉の血流変化は成人では認められるが、小学生では認められないそうである。
「脳血流が増える=脳の機能も向上する」という考えが間違っている可能性も否定できないのである。

最近、脳が活性化されるから「ああしろこうしろ」という主張をする人たちが増えているように思うが、
そういった風潮を科学的に批判する本が出版されて非常に嬉しく思う。特に「ゲーム脳」批判は痛快だった。