読み物として面白かった
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なんといってもジャック・ウェルチ。
おまけに有能なライターである奥様との共著。
ビジネス上のケーススタディとしてかなり有用。
ビジネスを推進する上での「指南書」なのだが、あまりに実も蓋もない回答に思わず笑ってしまう場面も多々あった。
本質的になればある程度実も蓋もなくなるのは、洋の東西を問わず普遍的な事実か。
勇気をくれます
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経営の神さまということで名前は知っていましたが、初めてこの方の本を読みました。
ジャック・ウェルチというと会社の人間でありクールな堅い人間という印象を持っていたのですが本書を読んでみてそれは誤解であったと知りました。非常に人間味のある、そしてまっとうな説得力のあるムリのない回答ばかりです。経営トップにありがちな一般社員との意志の乖離も感じられず非常に地に足のついた納得いくものです。
最後に、もっとも印象に残ったシンプルな回答を抜粋いたします。この回答が経営の神さまという立場の人間によるものであるということが驚きです。非常に人間味を感じることのできる勇気をもたらすコトバだと思いました。
---「Q68 敗者はどうすればいいのか」に対しての回答抜粋---------------
経済的な意味合いでしか、あなたは勝つことを考えていないに違いない。とんでもない。そうであってはならない。
勝利を私は違うかたちで考える。
個人的な目標を設定し、それを達成すること、そして(同じくらい大切なことだが)そのプロセスを楽しむこと、それが勝利だと思う。勝利することは、仕事とはまったく関係がない、いや、仕事そのものであってもよい。昇進して会社の重役となるのは勝利といえよう。だが、大工、数学の教師、結婚式場専属のバンドで歌う歌手であっても、勝利することは可能だ。家族を養うこと、両親の世話をすること、よい友人であることであっても勝利は手にすることができる。それが自分自身で選んだ夢である限りは。世界で最高の勝者は誰かといえば、「私は自分の選んだ人生を送っているだろうか」の問いに対して、イエスと答えられる人たちだ。
…(途中略)…
よく聞いてほしい。勝つことも、負けることも、数字では語れないのだ。それは心の持ちようだ。自分があきらめたときに初めて、あなたは負けるのだ。そういう目で見れば、世界は勝者に満ちていて、みんなに居場所があることがわかるだろう。
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前向きな勇気をくれるウェルチ節が、ぎっしり詰まっている
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「次の時代に伸びると予想される分野は何かをぜひ話してあげて欲しい。だが、大好きなことをやるべきだよと、もっと強く話して欲しい」。
引退後にいろいろな人から相談を受けた回答集を本にしたものである。以前読んだ「わが経営」のような大書ではないので、気軽に読める。一方、ウェルチの自伝を読んでいるのとは違う実用性もある。経営の神様だった人が、多くの人に共通する悩みに答えてくれているのだから。
「喜んで教えてくれる人から、あらゆる機会を捉えて学ぶこと」「誠実さ、知性、精神的成熟度の三要素は基本」といったことはそれはそれで諭しながらも、とにかく、徹底的に前向きで、実戦的で、読者を励ますのがうまい。だから、こう言い切っている。「勝つことの根底には、自分の人生で何かを作り出すことがある」。
並みの人なら慎重に言葉を選ぶであろう、若い人の起業したいという相談に対しても、ウェルチの答えは違う。「チャンスをとらえ、一発ホームランを狙うなら、今しかない。一軒家を郊外に持ち、二人の子供の学費を払うようになったら、冒険はできないんだぞ!」。
一方、流石は経営の神様、と関心する達観も多く見られる。「ひとつ大きな、あ、そうか、をつかんだら、戦略なんて単に方向性を示すものでしかない」「自分より優秀な人たちを管理するのは、他の並みの社員を管理するのとなんら変わりない」「政治の世界は非効率に満ちている。これからもずっとそうだ」。
今も多くの企業経営者の相談に乗っているだけあって、時流も鋭く見ている。「とりあえず中国に進出してみようと考えた企業の屍が山と転がっているのが実情」「規制は官僚主義の象徴だと悪く言ってきたが、外国投資家にとって、ロシアに関する限りはまったく逆だ」「IT業界で低成長分野にいれば、値引き競争という名の地獄にあっという間に落ち込んでしまう」。
若い人から、幹部レベルまで、広い人に参考になる書であろう。
勝ちにこだわる人だが、幸福とは何かを理解している
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サラリーマン、特に管理職、部下がいる人などには大変参考になる本です。
私が一番気に入った箇所は『(子供や孫にアドバイスを求められた際)次の時代に伸びると予想される分野は何かをぜひ話してあげてほしい。だが、大好きなことをやるべきだよと、もっと強く話しほしい。お金はやがてついてくる。たとえ、そうならなくても、やがては、お金では買えない何かが彼らの心を豊かにしてくれると話してほしい。そして、つけ加えるまでもないが、それが幸福というものだ。』
最近のビジネス本と言われるものは、金だとか、出世だとか、勝つことだとかが最終の目標のように書かれているものが散見され、私自身いま一つしっくりしないところがある。やはりそれを超越したところに価値感をおく人でないと共感できない。そういった意味では本著には共感でき、共感できると内容に説得力が出てくる。
因みに著者は勝つことには非常にこだわる人である。内容もどうすれば勝てるかのアドバイスが極めて的を得て述べられている。仕事で悩むときには参考にしたいと思う。
明確な方向付け
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著書や、講演会などでのよく受ける質問への回答が、
やさしい語り言葉で書かれています。
回答の方向付けが明確で、質問者の悩みの論点がずれている点は、
しっかりと指摘し、軌道修正を行っている。 さすがだ。
最終的に人事を重んじただけに、人に対する関心の高さを感じる。
単なる精神論ではなく、状況認識、思考の方向性の大切さが伝わってきた。
多くの人にお勧めしたい本です。
PS.
質問者の国、地域が書かれているのですが、
自分の周りでも聞く様な疑問・悩みは、
グローバルレベルでもあるのだなぁと感じた。