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ナノカーボンの科学―セレンディピティーから始まった大発見の物語 (ブルーバックス)

価格: ¥924
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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歴史的発見の記録 ★★★★★
今やナノテクの代名詞ともいえる、フラーレンやカーボンナノチューブといった「ナノカーボン」の発見の様子を詳細に描いたノンフィクションである。

著者はこの分野の第一人者であり、フラーレンの発見によってノーベル化学賞を受賞したクロトー教授らをはじめ、本書の登場人物らと個人的な親交も深い。歴史的な科学上の発見の場に立ち会い、自らも数々の研究成果を挙げてきた著者ならではの、非常にリアリティーのある記録である。歴史に残ろる発見を成し遂げた科学者らのバックグラウンド、偶然の発見、彼らの語った言葉、周囲の科学者らの驚きと興奮などがリアルに伝わってくる。
内容について ★★★★☆
フラーレン及びカーボンナノチューブの発見まで経緯が詳細に書かれています。
タイトルに「科学」という言葉が使われていたので、物性についても記載されているかと思いきや、物性についてはほとんど書かれていませんでした。タイトルが誤解を与える印象を受けました。(書店などで中身を確認して購入するのであれば問題ありませんが、中身が確認できないネットショッピングでは誤解を与えるかと…)
純粋な科学者 ★★★★★
よく日本の研究者は他者を認めないと
言われますが、著者はライバルの研究者を
認めて賞賛しています。

本当に研究が好きな人なんでしょうね。

フラーレンの発見から、
カーボンナノチューブの発見まで
一日を争う熾烈な競争が描かれています。

著者の熱意が伝わってきて
勇気づけられる本です。
セレンディピティー的発見ほど人の心をワクワクさせるものはない ★★★★★
C60、ナノチューブ、及びそれらの派生物(金属内包フラーレン、ピーポッド等)、これらは小グループによる小規模実験で見つかった個人的レベルでのセレンディピティ的な発見だった、ということがこの分野の日本の現役研究者(重鎮の一人)から生々しく語られます。(著者が関係者から見聞した逸話が満載)
著者は「個人レベルでの発見ほど科学者を奮い立たせ、研究に没頭させるものはない。科学者を虜にするのは個人レベルでの疑問と発見である」と述べていますが、その通りだと思います。私も(小グループの小規模実験で)偶然に新しいモノを発見した経験がありますが(←本を書ける程の大発見ではないですが(笑))、この経験ほど研究者としてやっていく自信を深めてくれたモノはありません。 紆余曲折があって、(夢に出る程に)悩みに悩んだ末の発見ほど、また格別です。そして、その様なbreakthroughがあると、不思議と"発見の数珠繋ぎ"があったりもします。「ものごとは心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは目に見えない」("星の王子さま"の名文句)、そういう"心眼"がなせる技なのかもしれません。(世界で何人もの人が見逃したであろう「ナノチューブ」の発見物語を読んで、この名文句を思い出した訳です)
そういう訳で、セレンディピティー的発見に気付くにはある種の心構え(心眼)が備わっている必要があります。本書のような良質な科学ルポタージュで一流研究者の心構えを知ると、そういう「自然との出会い」の確率を高めてくれるのではないかと思いますょ。本書読了後「よし、私も何かやるぞ、うん、できるかも!」と元気が出ますね。Good luck! (^-^)v

なお、セレンディピティーに関する類書として、物理屋さんは「若きエンジニアへの手紙」(菊池誠)、化学屋さんは「セレンディピティー」(ロイストン・M・ロバーツ)などが面白く読めると思いますょ。
(注:「セレンディピティーって何?」と思われた方は、"ja.wikipedia.org/wiki/セレンディピティ"をご参照下さい)
発見の感動が伝わります! ★★★★★
C60(フラーレン)分子を中心とした、発見の物語。著者が、サイエンスライターでなく
現役の研究者であり、研究をする感動が伝わってきます。

フラーレン発見の興奮、大量合成の研究のバトル、研究者としての著者の気持ち、
そしてナノチューブの発見と、単に事実だけでなく 当事者の気持ちがドラマチックに
再現されている。著者の研究者との交流を通じてのみ得られる、驚くべき偶然と事実。
事実は小説より奇なり、を文字通り再現しています。

高校生や大学生、研究をしている大学院生にも読んで元気になる本だと思います。