ヒカルの碁が名作であることは今更言うまでもない。
ヒカル程、等身大の中学生として描かれた主人公を私は知らない。

ヒカルの才能はアキラへのライバル心と佐為と共に過ごしたことが大きい。
ヒカル自身が碁の道を行く決意を本物とするのは佐為が消えてからのように思う。

そんなことはさて置き、揃えるとコミックより高価になる完全版。買うのは当然ヒカ碁が大好きな人に決まっている。
出せば出すだけ金を出してくれる。だからできるだけ巻数を引き延ばした。……そんなバカな。
読んで何も感じないのか。各巻のエピソードの収め方に苦心の後を感じないのか。
商法を否定することによって誰よりもその読み手が商法に囚われていることに気づいて欲しい。
表面から窺えることだけで恣意的に否定するのは考えが足りない。

本文のヒカルはおなじみのヒカル。坊や顔です。小畑先生は最近やっぱり月とLが描きたいのか、表紙のヒカルも佐為もすこし表情が変わった。佐為はもともとイケメンキャラだけど、少しクールになったかも。
よみがえれ１０００年の夢。羽生名人の扇子を握って囲碁をうつのも、また旬なおしゃれ。
梅沢さんもドコモ杯がんばってくれている。
囲碁は世紀を超えたおしゃれなゲーム。
ちょっと大判で、見易くなって、小畑先生の描写の観賞もグレードアップ。

ヒカルの碁は当時すごいはまって完全版がでたら買おうと思っていました。
脇役にもみんな個性があってキャラクター同士の会話がまたおもしろいです。
内容もヒカルの成長がよく伝わり、囲碁の対局は何回読み返してもハラハラします。
実は、いまだにルールをちゃんと把握していないのですが、ルールがまったくわからなくてもここまで楽しく読めるのはすごいです。
小畑さんの絵もとてもうまくキャラクターに感情移入がしやすく、話もテンポよくすすむので飽きがきません。
表紙の絵は当時と比べ、だいぶかわられましたが、いまの小畑さんの絵柄でヒカル達をみられたので僕はよかったと思います。

画力に関しては何も申すことはありません。漫画界でも1・2を争えることでしょう。

囲碁の漫画は現時点ではこれのみ・・・だと思う。かくいう自分もこの漫画を読んで囲碁を覚えた。
ただルールを知らなくても読むのには差し支えは無い。
佐為がいなくなってからどうゆう展開になるんだろうと思っていたらなんか中途半端なとこで終了。
囲碁は将棋よりも取っ付き難いというのは自分もやってみて分かったが、面白さでは将棋以上だった。
相手の駒を取ることが目的の将棋と、地を奪い合い相手よりも多くの領土を広げることを目的とする囲碁とでは「囲碁」のほうが戦略上高度な思考が要求される。攻めと守りを同時に行い、正に「攻守一体」であることが必要とされるのだ。
この「囲碁的思考」が人生を生きる上で身に付いているのといないのとでは差があらゆる場面ででそうな気もしないでもない。「そういう世界」に導いてくれたという意味で忘れられない漫画。

単行本を全巻持っているので、最初は買わないつもりでした。
偶々行った書店で１巻を目にしたら、あまりのイラストの美麗さに目を奪われで買ってしまいました。
１冊ずつの単価は決して安いとはいえませんが、私は買った事を後悔していません。
手近に置いて何時でもあの美麗なイラストを見れるという満足感がありますし、完全版は質のいい紙に印刷されている為に生原稿を見ているような感覚に陥り、単行本とは違った味わいがあります。
「ヒカルの碁」ファンなら買っても損はないかと思います。