オマージュ
★★★☆☆
1999年に出た単行本の文庫化。
「宝引の辰捕者帳」シリーズの第4集。
8篇が収められている。これまでと同じように、宝引の辰を中心にしながらも、語り手がコロコロと変わっていく。多視点さに工夫があり、面白い。
捕物帳であるが、岡本綺堂への愛を強く感じた。捕物帳というジャンル自体が、人形佐七の変奏曲であることを考えれば、当然のこととも言えるが。とはいえ、重ね合わせて読めば、二倍面白いだろう。
捕物帳としては、まあまあの出来。推理あり、人情あり、立ち回りあり。江戸の有名な人物や事件が取り込まれているのも見逃せない点だ。
職人技という印象の一冊。