ピアノで何故シューマンなのか?
★★★★★
週刊ブックレビューで中江有里さんと著者との対談を見て本屋さんに行きました。タイトルがうろ覚えだったので「ショパンの指」と思いこんで探し回ってしまいました。前半はミステリーというよりもクラシックの評論書か、或いはシューマンへのオマージュのようでした。音楽の知識に乏しい私がそれでも惹かれたのは、クリスタルのような透明感ある描写や乾いた肌触りの文体でした。
物語の中央に据えられたのは「幻想曲ハ長調」です。でも作品の通奏低音は長調ではなく陰影の濃い短調です。そして何故シューマンなのだろうか?ピアノ曲ならもっと一般受けするショパンがあるのに、と思いつつ読み進むと最後にその疑問が解けます。ラストは、シューマンのような技巧者と言える作家の美学に幻惑されてしまった。
面白かったんだけど
★★★★☆
音楽評論であり、シューマンへの信仰告白であり、青春小説の様でもあるミステリー
音楽と小説の素晴らしい融合にグイグイ引き込まれ、時間を忘れて読み耽ってしまう。
惜しむらくはラストのオチが途中で予想できてしまう事、
シューマンへの言及、音楽・人物・心理描写の巧みさと比べて
ミステリーの構築がちょっと弱かった印象がある。
ただ物語の主要素が分かち難く有機的に結びついている以上、
これは避けられないとも思う。
また普段ポップスしか聴かない人は、読み進めるのがキツイ箇所が
あるかもしれない、逆に音楽に多少の興味を持つ人には純粋な
読み物としての面白さに溢れた本だ。
装丁は素晴らしいが・・・。
★★☆☆☆
書店で見て、装丁の良さにひかれて購入しました。
初版本は帯も美しいですが、それ以降は別な帯になるようで、少し残念でした。
他の方のレビューではいいこと書いてありますが、
ピアノを全然ひいたこともなく、クラシックに詳しくもない
自分にとっては
全然わからないことも多数あり、
楽しめなかったな〜
と正直、思います。
ピアノを小さい頃からやっている友人にも読んでもらいましたが、
正直よくわからない・・・というのが感想でした。
ただ、最後の結末の衝撃はかなりのものがありました。
途中読むのをやめようかな〜とも思いましたが、
最後の結末を読んで、
買ってよかったと思えました。
構成がいいと書いてありましたが、
主人公が記憶をたどっていく
という形式の小説なので、話がとんでいる
感じがしました。
これは、自分の主観的な感想ですが
全体的に文章が陰っているとゆうか
暗いというか、
そんな印象がありました。
ピアノを弾いたことがない人にとっては
買ってもあんま楽しめないとは思いますが、
買って最後まで読んだなら、
「よかった〜」って思えると思います。
音楽と小説と評論がたのしめる。おすすめ。
★★★★★
こんな小説ははじめである。私にとっては、新鮮な印象が強いので、星5つとした。
小説でもあり、エンターテイメントでもあり、音楽評論でもある。
中で展開される音楽論自体もおもしろいし、テーマとなったシューマンの音楽も聞きたくなってしまう。
演奏される以前からある音楽、黒板に書かれる前からある三角形、そんな議論もたのしい。
推理小説としても、推理が興味深い。
何の本かも知らず.....
★★★★★
何の本かも知らず、ただ手にとって読み始めたが止まらなくなってしまった。小説は苦手だと自認していたが、前書きも後書きも、もちろん解説もない本なのにどんどん引き込まれて自分としては驚きの二日で読み切ってしまった。音楽に疎い読者ですが、シューマンを掘り下げた内容+展開予測不能なミステリーで、あーこんなにおもしろい分野もあるのかと、著者のこれまでの作品にも食指を伸ばそうかなと思う。