社会学者・経済学者としてのドラッカー
★★★★★
本書は「経済人の終わり」で全体主義の恐ろしさと、それを繰り返してはならない、
というドラッカー自身の主張を踏まえて展開したものです。
全体主義に陥らないためには、
個々の人間としては、自由=責任であることが重要であるとし、
組織には権力が不可避だとしたうえで、社会的責任を果たす為に、
権力の正当性を証明することが重要であるとしています。
今の日本は、これを踏まえていません。
個々の人間は、自由を自己満足とし、不満があれば誰かに責任をなすりつけ、
組織は自己保身のために、様々な受益者を不幸にしています。
ドラッカーはマネジメント領域では有名ですが、
社会学者・経済学者としての側面は注目されていません。
しかし、彼がマネジメント領域に入っていったのは、
本書の主張を実践するためには、マネジメントが重要であると考えたからです。
ドラッカーの著作を理解する為には、
「経済人の終わり」と本書を読まなければ理解することはできません。
そのうえで、「企業とはなにか」「現代の経営」「マネジメント」を
読むべきです。