フィクションだからこそ…
★★★★★
今まで林真理子さんの本は9割方読んでいます。
いつもぐいぐいと引き込まれ、一気に読んでしまいます。
いわゆる「東京の中流家庭の女性」を描いたら右に出る者はいないんじゃないでしょうか。
自分のことを「しごくまっとう」と信じて疑わないところに不幸の原因があるとは、思いもよらない由美子。
素朴で飾り立てしない、そして物事の本質を見抜くことの出来る宮城家の珠緒。
福原家と宮城家の好対照で物語は進んでいきます…。
交友関係が広い真理子さん、フィクションだからこそ描ける、色々な業界裏話もみどころのひとつです。
最後、自分のためとはいえ頑張りすぎた彼女についていけなくなるという結末は、
初期の作品「イミテーション・ゴールド」を彷彿とさせます。
わが家のことが書いてあるのかと思いました。
★★★★★
読み始めてすぐにわが家のことが書いてあるのかと思いました。
そして最後の翔の台詞。
「〜オレ、頑張っている人たちを見て、すごい、とは思うけど、憧れたり、そうなりたい、って思ったことはないワケ。
だけど珠緒と結婚したりするとさ、そういう人たちから、同情されたり、バカにされたりするワケじゃん。
そしていつかは、珠緒もそういうひとりになる・・・・」
最後までわが家のことみたいでした。
奮起できない人というのはいるものです。
なぜ奮起できないのか?
奮起しなくても、どうやら今の日本では餓死はしないからではないでしょうか?
どうにも暗澹たる気持ちになってしまいました。
ありそうな話・・・
★★★★★
現実でありそうな事を、少し誇張して書いている小説ですが、とてもおもしろかったです。
私は翔の考え方は理解できませんが、嫌いなキャラクターでもないです。
出来ないくせに、したくないからしない・・・という風に、自分のプライドを守るためにすり替えているようです。
それなのに、憎めないキャラになっています。
さらっと軽く読めました。
スラスラ読める・・・現実物語(笑)
★★★★★
なかなかおもしろかったです。
福原ママの考えって、多分「ウチは中流でいいの」「ウチは中流」と思っている殆どの人が腹の底では考えているコトなんじゃないかなーって思いました
軽く読めるのでスラスラと進んではいくのですが、
そのひとつひとつの言葉には、すごく重みがあり、みんなが言えそうで言えない考えが絡まっている・・・さすが、林真理子!と唸ってしまいました
オススメです♪
一億総中流
★★★★☆
林真理子は好きではありませんが時々読みます。
格差社会を描く…とありますが、格差社会を描いているわけじゃないね。
しいて言えば、一億総中流の日本の現状、かな。
やるきがない。頑張らない。自分に足りないものを足りないと認識できない甘さ。人の尻馬に乗っかって幸せになれればそれでいいという人生観。
下流へ落ちて行くのは日本そのものだと私は思う。
比較的読み応えがあります。
気になるものあつまれ!
★★★★☆
他人事とは思えない福原家の在り様が、身につまされます。自分に置き換えたら、高校中退しようとする息子に何といってやれるのだろうか、また、二十歳を過ぎても定職につかず漫喫で働く息子が、突然、年上の女の子を連れてきて、「同棲している、結婚したい」と言ってきたらこれにどう対応するのか。なんだか将来の自分とダブッて見えるようです。もし、そんな事態に陥ったら、いまの自分は間違っていないか、いまできる対処方は?そんな問いが溢れます。家長として読んでも、家を支える妻として読んでも『何が間違っているの!』と叫びたくなります。親の反省と子供への期待を込めた教育が、裏目となっていき、相談相手にもならない夫は、お前の責任と言わんばかり。四面楚歌で事態はなるようにしかならない・・・。
おもしろくて、かつぞっとしました。続きを知りたくなるくらいのめり込んでいた自分が、おかしかったです。ひょっとしたら、続きは読者それぞれが描くものかもしれません、恐~。
「格差社会の現実を真正面から描いた」話ではない!!
★★★☆☆
これを読み終え、ここ5,6年の間に入社した若手社員達を思い出してしまいました。
仕事が出来るようになることより、上司・先輩(異性だけでなく同性とも)と仲良くなることばかり考えている人、遊ぶ金が最低限入れば仕事で苦労するのは無駄と考えている人…
今さえよければよいという考え。本当にやる気なし。
やる気がないからがみがみしかっても無反応。一昔前は泣いたり、逆切れされたり大変だったが、まだあの方がよかったとさえ思っています。
やる気のない人は最強だと実感していたのでその意味ではこの話に共感できました。
ただ…「格差社会」を書いた話ではないと思いました。今の不景気の現実にはかなりあっていない内容です。
さらにはありえない展開になるのでうーん、というところがあります。
但しやる気のない人の酷さを表現したくてこのありえない展開を引き立て的なものと思えば私はこの展開もありかな、と思いました。でも批判は多そう…
あと、この話を読んで桐野夏生のグロテスクを思い出しました。ネットで調べたら、どうもこの話について対談したらしい…この話に影響されて作った?と思いました。