恋愛結婚をしてみたものの。。。
★★★★☆
自由恋愛の日本を生きる、十二組のカップルの物語です。
戦後、新憲法の下で婚姻の自由が認められても、自由に恋愛結婚が出来るようになるまでは、だいぶ時間がかかりました。つまり、僕たちのほとんどは、まだ恋愛結婚では無い結婚で結婚した両親の子か、せいぜいその孫と言うわけです。そして、また別の表現をすれば、恋愛結婚第一世代、または、せいぜい第二世代と言うわけです。
恋愛結婚は文字通り自分で選択した相手との結婚です。
自分で選択した、と言うことは、「他にも選択の余地があった。」と言うことです。その結果が100%満足出来なくても、それを”いさぎよし”とあきらめるか否かは自分次第です。
長年自由恋愛で生をつないできた国の人たちは、これを当たり前の事として受け止めるのかもしれませんが、僕たち日本人には不慣れなために、相当重いプレッシャーになるのかもしれません。
あきらめられない人、あきらめられる人、うまくいく人、失敗する人。今僕たちが生きている人の世は、本当にいろいろな生き方をする人たちが混在しているのだな。と思った一冊でした。
価値観の古さは否めない
★★★☆☆
冷徹で小気味いい文章や、ユーモアのセンスもなかなかだけれど、やはり、古いな〜という感じ。あまりに紋切り的な不倫や夫婦像。感情や嫉妬や欲望や、人物の描き方が、新鮮みにかけ、読み物としての魅力を削いでいる。
読み終わって、良かったも悪かったも無い。ただ、古くさい、と感じてしまった。
結婚に到った二人、到らなかった二人。
★★★★☆
『前夜祭』
お互いに結婚したいと考えた事が何回もあるのに、
それが見事なぐらい噛み合わない男女。全く振り子のようである。
それは人生そのものと言ってもいい。
『夢』
男女の関係になる事もなく、
二十年間良い友達としての関係を保ってきた二人。
しかし、あるきっかけによって、
彼女の鬱積していた彼への思いが噴き出してくる。
長い間胸の奥にしまってきた感情は、
やはり永遠に封印する事など不可能なのかもしれない。
『見て、見て』
結婚前に不倫をしていた相手がいた。
しかし、離婚後、若く貧しい男と、成り行きで再婚してしまう。
結婚というものは、勢いと成り行きが半分以上占めているのかもしれない。
というよりも、それなくしては成立しないものなのかもしれない。
『ドミノ倒し』
二十年も夫婦をやっていれば、
どんなに平凡な二人でも悲喜こもごも色々なことがある。
そして長い年月の末に、お互いに対し冷ややかな感情が定着してくる事がある。
もしかしたら大半の夫婦はそうなのだろうという気になってしまう。
そういうリアルさに満ちている。
どの物語も多かれ少なかれ『結婚』が一つの問題点となっている。
結婚には到らなかった二人の方が、そうなった二人よりも、
より深い業がつきまとうのかもしれない。
そんな気持ちを起こさせるような短編集である。
なるほど
★★★★☆
本当に林真理子さんらしい小説だなと思いました。女性の心理をよくとらえています。結婚できない女の心理などはとても鋭い感じがしました。短編集なのが残念でした、もう少し長編でも楽しめたと思います。
ダメなだけじゃダメ?
★★★★★
男ですが、読んでみました。
面白くて、どんどん読み進み、何度も読み返してしまいました。
なんていうか、ダメさっていうのは魅力であって、でもダメなだけじゃ幸せにはなれないんでしょうね。ってことを考えた読後。
ああいう情事は、おやつであって主食にはなれないものなんでしょ。
という感想は、やっぱり、男性的なんでしょうか。
男女で違った感想を持つ本なのかもしれないですね。