原典版+解釈版
★★★★★
インヴェンション等、市田儀一郎編の他のバッハの楽譜と同様に、バッハの楽譜として最も信頼できる、ベーレンライター新バッハ全集(原典版)を底本とし、市田氏の独特の運指を記載しています。
スラー、装飾音等で、原典版(バッハ自身が書いた部分)と編集の市田儀一郎氏が補った部分を区別しており、原典版の記載に忠実なのも、同様です。
インヴェンション、平均律に比べると解説はかなり少なく、楽曲分析はほとんどありません。組曲一曲につき一つの解説という形です。
インヴェンションで対位法的音楽を身につけた人向け、ということでしょうか。
しかし他の原典版と比べても、ベーレンライター版に基づいているという点だけでも、「買い」だと思います(ヘンレなどは、バッハに関しては内容が古いものが多い)。
また安めな点、解説がわかりやすく適切で、変に学術的でない点でも、やはり優れた一冊だと思います。
難易度は曲によります。おおむね三声シンフォニアと同じか、やや簡単くらいです。
しかし多声部作品であることを意識し、左手だけでもきちんと練習しないと、見た目以上にずっと手こずります。
また舞曲なので、それぞれのリズムを考える必要があります。
各舞曲の性格、リズムについては、由来からさかのぼって詳しく解説されています。
見た目がそっくりな、同じく全音の解釈版 もありますが、編集が古いので今ひとつです。
買い間違えないよう注意が必要です。