歴史観は残念。でも、建築資料、写真はとても美しく、素晴らしい。
★★★★☆
大連の建物について知りたくて読書。
著者の歴史観は残念のひと言。1960年生まれなのでどこかで強烈な残念な影響を受けているのだと思われる。歴史的な内容だけで判断すると5点満
点で1点である。しかし、建築専門家らしい視点、説明、写真の資料性は非常に高い。他の本にはない大きな特徴であり、初めての情報や学ぶこと
が多い一冊である。
特に関心を持ったのは、
・ロシア街の建築物についての情報。
・建築に関する法律の存在。現在残る建築物の決めてとなった大連
市家屋建築取締仮規則における永久建築と仮建設。
・すでに存在しないロシア時代の建物。『幻の大連』にも登場した
紀鳳台の劇場。現在の長江街にあった泰凰の本店。
・中山広場、ヤマトホテル隣のイギリス領事館の写真。
・建築様式。アール・ヌーヴォー様式、バロック・ドーム様式、ド
イツ風ハーフティンバー様式、ルネサンス様式など。
旅順の高等女学校の場所は本書で確認できた。
大連の歴史、建物、ヤマトホテル、遼東ホテル、満鉄本社、初代大連市役所、日本橋などについて紹介しています。
http://www.dllocal.com/
読書時間:約2時間50分
歴史的な変遷を丁寧に語り尽くした労作です
★★★★★
帝政ロシア時代のダーリニーから、日清・日露戦争を経て「大連」へと都市建設が進む様は、豊富な写真の掲載のお掛けでドキュメンタリー映画を見ているように理解できました。
建築史の専門家ならではの西澤泰彦氏の詳細な記述に驚かされました。中国北京・精華大学建築学院に留学されていた学識がここに現れています。史実を丹念に追いながら珍しい写真を用い、当時の地図を掲載しながら一般向けに分かりやすく書く作業は、相当大変だったと推察されますが、類書を遙に越えるような出来映えでした。
最初は、洋風赤レンガ建築物の街並みを辿りたいという思いで本書を手に取りましたが、読みすすめるうちに、都市造成に関わる様々な興味深いエピソードによって都市の形成過程が明白になりました。
現在の中山広場である「大連大広場」に展開される戦前の素晴らしい建物の写真を見ながら、日本が支配した都市空間の凄みと様式美に目を奪われました。今も使用されているそれらの建築物の優美さがまた大連の魅力の一つでもありましょう。
有名な「大連ヤマトホテル」の内装は現在でも風格を感じましたし、満鉄が所有した建物群は権力の象徴ともいえる壮大さを感じました。
郷愁と旅情の漂う街並みを見ている内に大連を訪れたくなりました。東洋のパリとも称えられた「アカシアの大連」の美しい建築物を知るには最適の書籍です。
都市には物語がある
★★★★★
どの都市にも物語がある。大連は100年そこそこの歴史しか持たない若い都市だが、本書を読むと見事な物語が、美しい写真とともにたち現れる。
帝政ロシア、日本、そして新中国とめまぐるしく政治体制が変わる中で、都市と建物は人々とともに生き続けた。特に旧「大広場」(現・中山広場)の写真は圧巻である。ドームを中心とした旧横浜正金銀行のシンメトリカルな建物は美しい。
星ヶ浦についてはもっと詳述してほしかった。
大連について知るには一番いい書物
★★★★☆
本書は著名な建築史家による大連の都市ガイドである
著者の専門だけあって建築に関する記述が多いが、
現在日本で入手できる大連関連の書籍の中では
内容の充実度は一番である。
確かに地図が少なく、個々の場所のイメージが判りにくいが
それは『井上ひさしの大連―写真と地図で見る満州』を
併用して読めば事足りるだろう。
名前の付けられた由来は別として
海水浴場「星ヶ浦」のネーミングは洒落ている。
ガイドブックより役に立ちます。
★★★★☆
写真が豊富で現地に行った時にガイドブック代わりに大活躍でした。
街自体に観光案内が皆無だったので、
この本が無かったら、街の歴史も建造物の歴史的背景も
ちんぷんかんぷんだったと思います。
(というか、この本を読んで大連に行きたくなったのですが。)
地図が無いのが非常に残念。あったら★は5つ。