まず第一に筆者が小難しい概念をかみ砕いて、平易な言葉で説明していることが挙げられます。例えば「制度能力」という開発経済でよく登場する言葉について本書では「政策を実施する政府の腕の良さを決めるもの。具体的には、優秀な官僚機構、適切な官民関係、所得分配メカニズムなど」と明快に説明してます。
第2に、東アジア各国(東南アジアも込み)の戦後からアジア通貨危機あたりまでの開発・工業化の流れを簡潔に説明。ここで、特筆すべきは各国が開発のために実施した政策を「結局!、この政策は何なのか?」という視点から、複雑な経済政策の枝葉末節を省き、分かり易くかつ本質を逃さずに説明している点である。
もちろん、数式もごくたまに登場するのですが、そういう所は分からなくてもいいと思います。僕も理解できなかったのですが(外国語学部なので)、本書全体を通じて分かり易い部分の方が遙かに多いので、良しとしようと思えます。