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イラン 世界の火薬庫 (光文社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
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イラン入門に最適 ★★★★★
 日本にいるとなかなか分からないのだが、イランは欧米では世界最大の脅威と見なされており、メディアでの扱いも極めて大きい。イラン問題を中心に国際政治が動いているといっても言い過ぎでは無いほどである。イランは北朝鮮と核技術協力を含む軍事協力を進めていると見られており、実はイランは間接的に我が国の安全保障にも影響を及ぼしている存在だと言うこともできる。このようにグローバルな問題となっているイランについて知るのに適しているのが本書である。著者はイランの専門家だが、イランの歴史や現在の外交戦略を平明に解説してくれる。

 本書が明らかにしているのが、中東と南西アジアの国際政治を知る上で、イランがカギとなっている点である。中東でのイランのプレゼンスの大きさは明白だが、インドやパキスタンとも複雑な関係を有していて、印パ関係にもイランが大きな影響を与えていることを本書は教えてくれた。革命防衛隊やアメリカの対イラン戦略などについても書かれており、本書を読むと現在のイランを理解する上でのポイントを効率よく押さえることができる。イランについての書物が必ずしも多くはない中、本書は入門書として非常に優れていると言えるだろう。
不思議で不安定な国、イランの今後 ★★★★☆
イランはつくづく、興味深い国だと思う。

歴史ある大国であり、高度な文化を持ちながら、なかなか近代化が進まない。
アラブ人の宗教であるイスラム教を受け入れながらも、アラブ人に対して文化的な優越感や敵対心を持つ。
自ら進んで征服活動を行ったことはほとんどなく、世界史的に見ても非常に穏健な民族だと言えるほどなのに、なぜか現在、もっとも危険な国の一つと見なされている・・・。

そんな不思議さを痛感させてくれるのが本書だ。

本書はイランの歴史や文化をさらっと紹介しつつ、主に近代から現代のイランの国内情勢と国際関係の推移を追っていくもの。
ちょっと前の本ではあるが、単なる現状分析だけでなく深い洞察に基づいているため、どう状況が転んでも参考になる本ではあるだろう。

ただ、氏の他の本も読んだことのある人間としては、あらゆるテーマをとにかく駆け足で表面的に紹介していくという感じで、あまり深みが感じられないのが残念だった。
手軽にイラン情勢の基礎知識を身につけたい人向きかと。
イランを通じて正しい世界理解を ★★★★★
 近年世界の注目が再び集まりつつあるイラン。
 近代以前には豪華絢爛な文化を花開かせ、近代でもイラン革命などで世界史上の稀有な事件を見せるイラン。今日ではアフマディネジャド政権によるアメリカ・イスラエルとの関係が問題となっている。日本にとっても有数の石油輸入国であり、決して遠くの無関係な国ではない。
 本書は、中東研究の第一人者が、このイランという国について正しい歴史的・地理的な知識と理解を示してくれる。イランの人の見方や考え方が見えてくる、有益な一冊である。
アフマディネジャドのイラン ★★★☆☆
歴史から入ってるから、盛りだくさんではある。まとまりに欠いた点もある。それでも、アフマディネジャドの統治するイランの現状がわかる。まず、驚いたのが革命防衛隊なる第二軍隊(言葉は悪いがドイツの武装SS)のようなものがアフマディネジャドの出身母体だけあって、主要閣僚や国との契約に経済活動してる防衛隊企業を優先契約させているという、訳わからん身内重用主義があったということ。また、経済は 失敗しており、失業率は相当数に及ぶという。

一方、アフガンに向かうと、スンナ派のタリバンとシーア派のイランの関係は最悪だった。そんなわけで、アメリカはイランの一定の支援を得られた。今のイラク戦争でも一番過激派スンナ派を取り締まってくれているので、イランは歓迎している。なんか、同じ過激イスラム同士だし、仲いいんじゃないと思ったら、宗派の壁は鉄の壁なのね。

そんなわけでなぞに包まれていた革命防衛隊、こんがらがってたイランを中心とした国際関係(特にアフガン、サウジ、インド、パキ)は本書で比較的わかりました。でも、本書は国防総省がイランの核施設にバンカーバスター爆撃を提案したとか、今にもアメリカがイランと開戦するみたいな著者の見たては気になりました。イラクでそれどころじゃないと思うけど。