絶望しないものは生きてはならない
★★★★☆
ゲーテ自身の切望的な恋の体験を作品化したものです。慰めは無意味な言葉であり、生きていく中で絶望することは必然的なものなのかもしれません。そして、その絶望に対して折り合いをつけながら生きていくのでしょう。
「君は救われないのだ。不幸な男よ。ぼくにはよくわかっている、ぼくらはみな救われないのだ」
自分の悩みを信じる。
★★★★☆
ストーリー自体に好き嫌いはあると思いますが、それでもしっかり意味は伝わってくる名品です。心理描写というより、情景描写、風景描写が美しく、また翻訳もすばらしいです。
風景描写っていうことに関しては、この作品がドイツの美しい時代に書かれたということはとても重要だと思います。何も確かなものがありそうにない、そんな暗めの時代となると、自分の外部の美しいと思う情景を信じきって、それに自分の気持ちを乗せて文章にしてしまうような「素直な」というか「素朴な」スタイルで小説を書くことはできないでしょう。その美しさは本物か?自分のこの悩みは本物か?と疑ってしまうので。この作品にはその疑念がなく、ドイツのいい時代、自分の幸せはそのまま100パーセント自分の幸せとして受け止めて良かった幸福な時代に、その養分をたっぷり吸収し力強くできあがっています。自分の悩みを「信じきった」こういう力強い作品がある、このシンプルさ、そのことを素直に喜んでいいと思います。
実際のところ、ウェルテル、バカみたいなんですけどね。
精神世界に生きていくことのむつかしさを感じました。
★★★★★
内向的という表現が適切か分からないが、
知人にあてた手紙なので、相手があっての話である。
精神世界に生きていくことのむつかしさを感じました。
あきらめることの意味と、物理的な、身体的な制限を認識することの必要性を考えました。
恐ろしいくらいの強烈なビート
★★★★★
異常なまでのテンションの高さ。書簡形式で読みにくいかと思ってページをめくると、最後まで読まないわけにはいかなくなる。ただし、繰り返し読む勇気はない。読んだのは、ほぼ20年前だが、のけぞるくらいのショックを受けたことを鮮烈な記憶として残っている。
失恋した直後の人にとっての特効薬でしょう。
前半は一部の人にとっては素晴らしく意義深い
★★★★★
一言で表すとやはり傑作と言うべきだろう。
主人公ウェルテルの心情に終始強烈に引き込まれ、彼と共に幸福に、爽快に、明朗に、また陰鬱に、混沌に、不幸な気持ちに浸れる。
読み終えた後には陰鬱な気持ちと共に程よい余韻も残してくれた。
さて、私が特に強調したいのは第一部にある。これが実に奥深い。
他愛も無くウェルテルが、いやゲーテ伯が語る世界の普遍的真理や大自然の素晴らしさ、完全さ、世俗界の規律やあり方についての不条理に対する鋭い批評は生き生きとしていたように思えた。
また、一部後半のロッテが語る死後の世界観はまさに身震いものである。
二部に対しては私の体験の不足からか、前半と比して心うたれるものが少なく感じられた。
とにかく多感な青年の皆さんには是非一読をオススメしたい作品。