しかし、「考える我」だけでは、やはり限界があるのでしょう。そこから、フッサールは最晩年の著作「ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学」で生活世界に決定的な意義を認めることになります。
本書は、フッサールの中期の主著「イデーンⅠ」と最晩年の主著「ヨーロッパ諸学の危機と超越論現象学」の間を埋める大変貴重な資料と言えます。しかも、二つの著作よりずっと読みやすい。イデーンを読んだがさっぱり分からなかったという読者は、本書を読んでから、再挑戦されることをお勧めします。また「危機」を読む前に本書を読んでおくと大変に役立ちます。
フッサールに興味を持つ人は是非ご一読を。