ブクログに書いたものですが、
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フジテレビ報道キャスターの黒岩祐治さんが、お父様のことを綴ったノンフィクションです。肝臓がんの2度にわたる抗ガン剤治療と副作用を経て、劉影先生という漢方医との出会いとその後の生活の様子が書かれています。サブタイトルは「中西医結合医療の可能性を信じて」というもので、西洋医学とそのほかの伝統医療(ここでは中国医学)との併用である統合医療の可能性を示した本です。
著者の父上は2度目のひどい副作用の後、自宅に戻り漢方医の指導のもと免疫を上げる工夫を重ね、ついには肝臓がんを克服しました。人間の身体の「もとに戻ろうとする力」恒常性は本当にすごいものなのだなぁととても感動しました。また、その力はとてもデリケートで、関係者(この場合は医師)の心無い一言でどれだけ患者は傷つけられ、その心のダメージ(=恐怖や不安などのストレス)がどれほど免疫力の低下につながるかを考えさせられる本です。木を見て森を見ない現代の医療の問題点が浮き彫りにされ、攻撃的局所的医療から、人間まるごとを、生活までをも見ていく、本当の意味で人間らしい大きな心の医療に転換していく必要性を感じます。医師は高圧的になるのではなく、その最良のアドバイザーとしてさまざまな可能性を示せる、患者さんの心の支えとなれる、そんな存在であって欲しいと思います。(その意味でも劉影先生は素晴らしい方だと思います。)
著者の父上は余命二ヶ月と言われた後も、数年を自宅でご家族と共に過ごし、タイトル通り84歳の誕生日には大好きな神戸牛のステーキも食べ、お酒も少しは飲み、にこやかに天寿を全うされたようです。病気になってもならなくても、人間は必ず誰でもいつか死にます。どのような身体の状態で自分の人生を生き抜くのかはみな同じではありませんが、誰もが自分の生活を楽しみながら幕引き出来る日を願っています。
命へのメッセージが理解できる
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漢方には、西洋医学では見落としがちな命へのメッセージがこめられていると、筆者は言いますが、西洋医学での治療しか知らなかった私には、目からうろこの大きな気づきがありました。
老親を抱え、自らも年を重ねる中で、漢方にも目を向けたいと思ったところです。
病気との向き合い方と家族のあり方
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第1〜5章は「家族」、第6章は「日本の医療」に焦点を当てて構成されている。
著名な政治報道番組のキャスターでもある著者の黒岩氏は、一方で、日本の医療が抱える様々な問題についても番組の中で取り上げており、著書から実際の医療の現場を垣間見ることができる。
毎年およそ30万人、日本の死亡者の3人に1人がガンで亡くなっている、という事実は、つまり、いずれ自分や自分の家族が直面するであろう問題でもある。
著書は西洋医学に一辺倒の日本の近代医療に対する問題提議であると同時に、「病気との向き合い方」、「家族のあり方」についても、一度、自分自身の問題として捉えてみる上で一読に値すると思う。
日本の医療に問題点を提起した名著!みなさんもぜひ!!
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著者の父は末期がんに侵され、一時は年を越せるかというところまでの状況になりましたが、その後末期がんは完治し、2年半も生きることができました。
末期がんが完治するという『奇跡』が起きましたが、著者はそれは必然的なものだったのではないかと言います。
そこに病気を見て人を見ずという日本の医療の問題点があります。
ガンは、誰にとっても自分の身に降りかかる可能性があります。
医療関係者、看護関係者のみならず、誰にとっても身近な問題…それが医療です。
私はこの本に出会ったことを心から幸せに思います。
皆さんもぜひ、御一読ください。
フジテレビキャスター黒岩祐治の本
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新報道2001で御馴染みの黒岩祐治さんの本が書店に並んでいました。
タイトルを見て興味をそそられ手にしました。
内容にグイグイ引きづられ立ち読みすること30分!!
購入させて頂きました。家に帰り続きをあっという間に読み終えました。
父子の愛。家族の絆。医療の問題。
ますます深刻化する高齢化社会の問題。等々
深く考えさせられながらも胸の熱くなる場面が多々あって、
読み終えた後は涙するも穏やかな気持ちになっていました。
人間が最初で最後に経験する“死”を私はどのように迎えるのでしょうか?
私にとっても看取る家族にとっても穏やかなものでありたいです。