DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION [DVD]
価格: ¥5,229
評判のいい『DIRECTORS LABEL』に収められたこの『DIRECTORS LABEL クリス・カニンガム BEST SELECTION』は、他のスパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーのものと同様に素晴らしい映像が見られるが、二つとは大きな違いがある。ジョーンズとゴンドリーの作品には遊び心が溢れる明るいものが多いが、カニンガムは「悪夢」に誘おうとしている。都会的な怪奇さがあるエイフェックス・ツインの『Come to Daddy』から、激しい不気味さが漂うレフトフィールドの『Afrika Shox』まで、カニンガムのビデオ作品は怪しさと不思議さを強調している。だがそれらは際立って美しく、ポーティスヘッドの『Only You』で、水中の動きと不吉な都心の風景を結びつけた水の効果は、別世界を生み出した。カニンガムのショッキングな手法のうちのいくつかは、恐ろしいほどにリアルであるが(エイフェックス・ツインの音楽と一緒になっている、彼の「柔軟な」ビデオのインスタレーションは、デイヴィッド・クローネンバーグと同じくらいの不穏さがある)、他のものはカタルシス効果があり、特にエイフェックス・ツインの『Windowlicker』は、とても面白いものだった。マドンナの『Frozen』は、混沌とした雰囲気のこの作品から薄気味悪いエレガントさを醸し出しているが、いちばんの代表作と言えるのは、間違いなくビョークの『All Is Full of Love』だろう。素晴らしくシンプルだが、最新のロボットや、完成度の高いCGIを組み合わせて、驚くほどに親近感も生み出している。これらの、そして他のビデオ作品でも、カニンガムは独自の美意識を発展させ、それぞれのビデオやCMの作品に、暗くて時にゴシック風のセンスを取り入れてきた。悪夢を思わせることもあるこうした映像は、感情が伝わりやすく、カニンガムの恐るべきオリジナリティとなっている。(Jeff Shannon, Amazon.com)