さくら書房
★★★★★
下巻は、比叡山を降りて市井の聖となった親鸞が、法然を生涯の師と仰ぎ、やがて法然からも厚い信頼を得てひとり立ちをし、やがて弾圧を受け越後に流されるまでを描いています。面白いのは、法然が天才的な存在として描かれるのに対し、親鸞はただ愚直に専修念仏と対峙し、その矛盾に悩み、おのれの心の弱さから妻帯するなど、どこまでも一市井人であるかのように人間くさく描かれていることで、読者は親鸞をとても身近な存在に感じることでしょう。下巻でいちおう<完>となっているものの、師の教えをさらに発展させるべく歩み出した親鸞の活躍はまさにこの後から。続編が待たれます。