1975年に結成されるやいなやピストルズは、彼らが検閲にかけたバンドをことごとく時代遅れのものとして葬り去った。彼らはニューヨーク・ドールズがかつて作り上げたサウンドをさらに強化し、その結果生じたごった煮状態の音楽を状況主義者一流のレトリックを用いて仕上げてみせた。悪態、毒舌、かみそりのように逆立てた髪型、見事なまでに鋭利なコメントといった拮抗(きっこう)するイメージの数々を巧みに融合させながら、自らをヘッドライン・ページへと喀出(かくしゅつ)してみせたし、独力で究極のパンク・ロック・ルールブックをも作り上げた――嬉々として、自ら書き上げた聖典を切り裂き、その断片をスパイク・シューズを履いた崇拝者たちに投げ与えるかわりに。
「Anarchy in the UK」を通して嘲り笑いつづけるジョニー・ロットン、「Holidays In The Sun」でヘヴィー・メタルの概念を再定義してみせるスティーヴ・ジョーンズ。名曲「My Way」を完全に崩壊させてみせるシド・ヴィシャス――彼らに耳を傾けてみるがいい。ただすばらしいというほかない。
万が一紛失した場合のため、2枚購入することをおすすめする。(Ian Fortnam, Amazon.co.uk)