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完全版「男はつらいよ」の世界 (集英社文庫)

価格: ¥760
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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完全版というと・・ ★★★★☆
完全版と謳っていますが、あとがきによれば

「本著は私の寅さん論としては五冊目で、それも含めての山田洋次関連では七冊目となる。だがシリーズ全作を各論形式で書くのははじめてで、これだけ大部の各論はもう以後も書くことはないだろう。以前の『「男はつらいよ」の世界』『新・男はつらいよの世界』をベースにしての「新編」であり、「完全版」である。(408頁、あとがきより)

著者にとっての完全版であり、全てが網羅されている完全ガイドではないということが「あとがき」まで読んで納得しました。
私も完全版に惹かれて購入しましたがロケ地情報なども載っているのかと思ったらその手のことはほとんど書いていないし、読み始めて「あれ?」という肩透かしを食らった気分でした。著者の主観で失敗作だ云々も(世間でもそういわれている作品であっても)ちょっと・・という気分でしたが、読み進んでいくうちに著者が「男はつらいよ」のみならず山田映画が大好きなんだというのがよくわかりました。本著は「男はつらいよ」以外の山田作品にも触れられていて、まだ観ていない作品がある私にとっては興味深かったです。
どうして寅さんがこんなにも多くの人に愛されるのかという理由もわかった気がします。ただ面白いからという理由だけではこれだけ長くは続かなかったでしょう。
個人的に興味深かったのは、映画を観ていて私が全く気付かなかった時代を風刺している作家の視点。確かに映画が作られた時代背景を考えつつ観るとなるほどねと思ったり。
山田作品と同じく家族を描いている小津安二郎や木下恵介にも触れられていて今度観てみようかなという気持ちになりました。(小津作品は2〜3本見た記憶がありますが。)

最後の章「幻の第49作、寅次郎花へんろ」の山田監督のインタビューは興味深かったです。49作目にどんな映画を考えていたのか、具合の悪そうな渥美清を気遣いながらの撮影などについて語られています。
完全ガイドだと思って読むと??となるので、著者は映画評論家ではあるけれど山田映画の一ファンが書いた本だと思って読むと楽しめると思います。
完全とは言い難いが ★★★★☆
完全なデータを期待すれば評価はきびしくなるかもしれませんが、「男はつらいよ」シリーズに対する著者の愛情を感じさせてくれます。30作代に失敗作が目立つというきびしい批評もあります。たしかにヒロインとの行く末の後味の悪さやラストのしまりなさなどが目立つ作品もありました。そんな鋭い指摘もありますが、読むほどに寅さんの世界について新しい視点が開かれてきます。
思った程ではない ★★★☆☆
中期以降の作品については言うことない
だが作品誕生にまつわる情報性が低い
巷のファンサイトの方が勝っているだろう
作者は主観よりも情報性重視を図るべきである
それならば完全版の名に相応しくなると確信する
「男はつらいよ」再確認の書 ★★★★☆
民放でシリーズ48作品の放送が終わって、見落としたり完全に見られなかった作品などがあり残念に思っていたら、今度はNHKのBSで完全放送ということで、前半24作品を見たところでこの本を手にしました。
各作品ごとに数ページの論評がされており、作品の内容の再確認やシリーズの中の位置づけなど、作品を見るのに大いに助けになります。
その他にも、「男はつらいよ」の本質に迫ることがいくつも書かれており、なるほどそういうことかと納得させられるところが沢山あります。又、こぼれ話のような話もあって、楽しく読むことが出来ます。
「男をつらいよ」シリーズを見てみようと言う人には必読の本だと思います。