内容的には文句無しだがヒロインの枯渇無縁な欲望には食傷気味になるかも
★★★★☆
美少女文庫で活躍する作者の「黒本」デビュー作。タイトルだけで大体の設定や展開は読めると思うが、本作の素晴らしい点は、メインヒロインの兄嫁とその妹(親戚)による年上姉妹丼と、兄嫁の娘(姪)による母娘丼が同時成立していることである。これを意識して狙ったのならば、作者の着眼点に驚愕と敬服である。こうした設定や、兄夫婦宅に居候する大学生主人公の、同居生活から始まるアハハウフフな展開というのは申し分無く良い。清楚でお淑やかな兄嫁(32歳)をメインに据えての、自由奔放な親戚(27歳)や健気で可愛らしい姪(14歳はさすがにちと幼過ぎか)とのバランスの取り方も良いと思う。母娘の年齢(32歳&14歳)が近いと思うだろうが、これには、見方によっては兄嫁の本性を垣間見せるエッセンスとも成り得る過去設定がある。そして、この兄嫁の本性だが、本人も無自覚だったのを、主人公との関係により知ることとなる、つまりは開発されたことで花開くのは何ら問題なく、むしろ実にナイスな展開ではあるのだが、これが後半になるに連れてかなりの暴走機関車と化す。仕事優先の夫に構ってもらえなかったにしては、めくるめく未知の愉悦に歓喜しまくりで、少々有頂天ですらあり、夫が長期海外出張中だからにしては「ちょっと、いいの?」という感すら出てくる。「いやいや、これがいい!」との意見もあろうが、これに親戚や、彼女達の介添えで「初めて」を奉げた姪が加わって以降は、さすがの主人公も降参気味というか、読み手も食傷気味というか、そんな雰囲気が漂ってくる。かなり豪華なコスプレ共演を迎える終盤を経てから出てくる夫(兄)の顛末によって、さらに暴走を極めることを示唆するコミカルなオチではあるが、もう少し情交にメリハリがあってもいいのでは?という気がした、女性陣の押し一辺倒の作品である。