彼らの表情が忘れられない。
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13人全てのジャーナリストの『自分が見てきた事や現地の人々が伝えたい事を何とかして世間の人に知ってもらいたい』という思いが伝わってきます。写真に写る彼らの表情は、色々な感情を呼び起こします。酷い傷を負いながらもカメラに向かってピースサインをする少年にやるせない気持ちになりました。少なくとも何の罪も無い民間人を巻き込んだ戦争や紛争は、無くなってほしいと願います。国家が悪くとも国民が悪い訳では無いのですから。
ぜひ読んでほしい
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写真1枚に説明文が2ページついているので、大変読みやすく、内容も詳しく分かりやすく、大変よかった。13人の気鋭の戦場フォトジャーナリストの見た戦争の真実がここにある。この本では戦場、特に中東、アフリカでの現状を一枚の写真を通してみることができる。
真実を伝える眼差し
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ここに紹介してある写真と文章を読むと、一部の指導者によって巻き起こされた戦争が、いかに名もない庶民に悲惨で残酷に満ちた仕打ちをしたかが、ズッシリと響いてくる。
破壊された廃墟の我が家から必死に教科書を探す子供。一瞬前までは病院の部屋で遊んでいた女の子が、ベランダに出た瞬間に悪魔の標的となり生命を落とした。ウィリアム元少年兵は飢えから両親を殺害。彼は裸にされ鎖に繋がれたまま悪臭漂う施設に投獄されて横たわっている。見る者、読む者に言い知れぬ憤怒と悲しみが突き刺さってくる。
思わずサルトルの「ペンは飢えた子供たちになにができるのか?」といったフレーズが脳裏をよぎる。地雷を踏んで三本足で立っている象のモタラ。見るも無残に左目を失った少年、劣化ウラン弾の犠牲により白血病に冒された少女の美しい笑顔が、ナイフとなって私の心をでグサリと切り裂いてくる。ベトナム戦争終結から30年の歳月が流れたが、人を殺戮に駆り立てる魔性の嵐はいまなお吹き荒れている。
本書に紹介された悲惨で残酷な現実を日本のマスコミ報道は伝えているのだろうか。この本の執筆者のように、自らの生命を賭して戦乱の地へ行くジャーナリストはわずかでしかない。彼らは戦場に埋もれている民衆の悲しみを肌で感じ、醜い戦争の内幕を暴くべくシャッターを切り続けた。イラク、レバノン、パレスチナ、ベトナム、カンボジア、アゼルバイジャン、チェチェン、ハイチ、アンゴラ、コソボ・・・。
私はマスコミ関係の専門学校で教鞭を取る者だが、本書は報道の真実とジャーナリスト精神を学ぶ上で、是非とも一人でも多くの若きマスコミ志望者に読んで頂きたい本だと推薦したい。