おまけのこ
★★★☆☆
2005年に出た単行本の文庫化。「しゃばけ」シリーズの第4弾。
5本の短篇が収められている。
だいぶ書き慣れてきた感じだ。物語としての魅力が増してきている。
気に入ったのは表題作でもある「おまけのこ」。鳴家の可愛らしさがいい。
一方で「こわい」は小説としての魅力がある。ラストが秀逸。
ただ、全体としては物語として破綻しかけているようなものが多く、このあたりは改善されないのかなと思った。
やっぱり好きな短編集
★★★★★
買ったものの、なんだか読むのがもったいなくて温めていた本。読み始めると一気に読んでしまうことが分かっているので、楽しみを先延ばしにしていましたが、ついに表紙を開きました。思った通り、どれもおもしろくて、すぐ読み終わってしまったので、今回は続けて3回読んでしまいました。
今回の短編集は、屏風のぞきや鳴家が主人公になっているものや、一太郎の子どもの頃のエピソードもあり、今までの作品よりももりだくさんなお得感がありました。また、「こわい」では、これを飲めば腕のいい職人になれるという薬を、栄吉のために欲しがった一太郎に対し、薬に頼ることはせず、自分の力でなんとかがんばりたいと言う栄吉を佐助が「いい男になった」と褒めますが、べたべたに甘やかされている自分ですらそんな風に褒めてもらったことはないとちょっとうらやましがる一太郎が、だんだん大人になりつつあるんだな、と微笑ましかったです。
今回は、随所に一太郎の成長ぶりがうかがえる作品になっていて、今後がますます楽しみです。からだの弱い若旦那が、大店の主人に無事おさまる日はやってくるのでしょうか。
心にグッときます。
★★★★★
この巻までくるともう超病弱な一太郎や超甘やかしの佐助と仁助達、そして妖達にも慣れた頃ではないでしょうか?
そういう所で今回は皆から嫌われている「こわい」がやって来たり、お化粧が厚い固い娘の心をほぐしたり、家鳴が冒険したりと相変わらずです。最初のこわいはどうかしてあげたいけどどうしようもしてあげられない悲しさと一太郎が最後に「こわい」に優しく接したとき彼がなぜ疎まれているのかがわかるような気がします。人間にも「こわい」のような傲慢な部分があるからです。また恵まれたものとそうでないものがあるやりきれない気持ちにもなる「ありんすこく」など妖達より人間の暗部をついた作品がこの巻は多いです。
滅入ってしまいがちでも幼い一太郎の冒険や家鳴の冒険もあるので充分楽しめると思います。
しゃばけシリーズ4作目・文庫化
★★★★★
文庫化まで待って買いました。
日本の妖怪をこんな形で文章にしてほんわか柔らかい空気のただよう
世界観が大好きな「しゃばけ」シリーズ。
身体が弱いくせに生い立ち、境遇などのすさまじさ。
なんか、現代人の求める、古き良き日本の心らしきモノが、
読後感に暖かく感じられる一冊。
こんなちっこくて、可愛い妖怪やったら、
一人くらい、毎日膝の上に置いておきたくも、なります。
狐者異(こわい)は怖い!
★★★★☆
しゃばけシリーズ第4弾。
前作同様、一太郎の周りで起きる様々な出来事を妖(あやかし)の力を借りて解決していく。
本書の中に狐者異(こわい)という妖が登場する。
狐者異に関わった人や妖には、不幸がおとずれる...というなんとも恐ろしい妖である。
しかし、現世の人間社会でも関わった人を不幸にする(騙す)人間が多くいるのではないかと思う。彼らは妖なのだろうか....