主人公の柳生十兵衛が転生した名だたる剣豪達と、手に汗握る激闘を繰り広げている。
話の構成、文章の巧みさ、スピード感。
どれをとっても秀逸である。
山田風太郎を読む上で、是非とも読んで欲しい1作。
吉川版『宮本武蔵』では負ける小次郎側に十兵衛を配置する!
さて、ここからどうやって吉川英治に負けずに、己の分身・十兵衛を勝たせるか、一行一行の単位で作者の気合いがギリギリと入っているのだ。作家として脂ののりきっていた山風の鬼気迫る文体が堪能できる。
ただのエンターテイメントとしてではなく、山風という作家を知る意味でも、この対決は重要なテキストであろう。