本当のヴァンクライバーン・コンクールって何?
★★★★★
あの辻井伸行くんが優勝した、ヴァンクライバーン・コンクールって一体どんなものなのかな?という単純な思いから、読んでみる事にしました。とにかく内容がストレートに伝わって来て、このコンクールで優勝するという事が、いかに大変ですごい事かがよく分かりました。
まず出場する為の条件が、プロとして活動していなくては得られない程色々な注文が付けられていて、その中でもビックリしたのが、世界で認められている音楽家の推薦まで必要とされていた事です。例えずば抜けて上手でも、普通の音大生位では出場すら出来ないコンクールだったのです。
著者の方もピアノが弾けて、クラシックに精通しているので、演奏に対する感想や批評もとても具体的で分かり易かったですね。また、辻井くんの演奏を聴いての驚きの体験談なども、とても興味深くて面白かったです。多方面からコンクールを見て、色々な人々にインタビューして聞いているので、ヴァンクライバーン・コンクールを深く知ることが出来る、お勧めの一冊です。
音楽好きに
★★★★☆
著者は、アメリカのオンライン・デーティングを実践した希書『ドット・コム・ラヴァーズ』を書いたハワイ大学の先生。この本と同じタイミングで出た新作が『性愛英語の基礎知識』だから、エッチな話が専門なのかと思っていたら、本職はこっちらしい(笑)。
著者のフランクな性格故か、コンクールのキーパーソンたちに軒並み話を聞いているのは貴重である。特に、コンクールを主催するクライバーン財団のスタッフ、優勝した辻井伸行さんの家族などには、三週間のコンクール期間にわたって密着しており、ほとんど「関係者」と言っても良いくらいだ。全体にわたって、スタッフも演奏者も観客も、音楽を心から楽しんでいるのが印象的だ。
自身がピアノを弾く著者の演奏へのコメントも面白く、ナターシャ・クドリスカヤの演奏などはyoutubeで探してしまった。音楽が好きな人にはおすすめ。