現代社会の問題を切り取ってみせる。
★★★★☆
池袋ウエストゲートパークの8作目。
常にその時々のニュースや社会問題を扱っているIWGだが、
今回は、
○千川フォールアウトマザー シングルマザーと幼児虐待
○池袋クリンナップス 格差社会
○定年ブルドック 携帯で撮った写真を利用してのゆすり
○非正規レジスタンス 低賃金の派遣社員問題
の4作品。
フォールアウトマザーは、最近2010年に起きた、シングルマザーが幼児二人をマンションに
置き去りにして餓死させた事件を思い出し、思わず、初出年月を確認したら、2007年だった。
現実に起こった事件を先取りしたような作品だったのだな、と改めて作者の慧眼に感心した。
シリーズの1冊としてなら○、単品としては△
★★★☆☆
言うまでもなくシリーズものの8冊目。
今回のテーマはシングルマザー、ごみ拾い、ストーカー、ワーキングプア、の4本。
シリーズとしては大好きで、
というのも、登場人物が魅力的だし、トラブルも一風変わった解決のされ方をするから。
ただ今回は、まあそうなんだろうな、という想像から外れることもなく、
いままでの延長線上にあるような展開で、そのまま終わります。
ということで、シリーズの1作として、お金を返せ!!という程ではないけど、
(いままでの7作がスキな人は買って読んで損はしないと思います。)
特にオススメする程でもない、ということで。
毎回ホームランを打つわけでもないし。ただしっかり次につながるヒットですね。
これは日本全体の問題。
★★★★☆
池袋を舞台にした、現代版の探偵物。
シリーズ8作目で、短編を3話収録している。
今作のテーマは、格差社会・シングルマザー・派遣労働者。
重いテーマと強いメッセージに、ストーリーが押しつぶされた感じはややあるが、
テンポがいいので一気に読むことができた。
何より、先を読ませるパワーのあるキャラクター達がいる。
街のトラブルシューターのマコト。普段は果物屋のにいちゃん。
池袋のガキの集団であるGボーイズのキング、タカシ。
暴力団羽沢組のサルは、元いじめられっこ。
マコトが仲間とともに事件の中に光を見つけていくさまは、
決して華麗ではないけれど、心が温かくなる。
これらの社会問題は、一個人の力で解決できるものではない。
自分としては、本書のテーマを一緒に考えたい、20代の方に特におすすめしたい。
いつも続編が楽しみになるシリーズだ。
う〜ん……
★★★☆☆
おもしろいことはおもしろいのだけれど、ちょっと安易な感じが……。極貧生活を送っている者に「空気清浄機を買え……」などの「はあ?」と感じるようなせりふ。時事問題に題材をとるのも悪いとは言わないけれどそればっかりというのも。だから解決の先もわかってしまう。う〜ん。IWGP好きなんだけどなあ。
だんだん話がオッサンのノリになってる気はするんだが、いい。
★★★★★
数えてこれで8刊目ですか。
すべて読んでいますが、この回は結構重いですね。
この作者は東京に住んでいるだけあって、若者の世相を切り取るのが上手い。
なんだか主人公がオッサンの作者そのものに見えてきてるのが、どうなのかなと
思うんですけど、それがオッサンの自分にはピッタリきていいんですよ。
でも若い読者はどう思っているのでしょう。そこらへんが気になります。