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銀行狐 (講談社文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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銀行内事件の傑作推理短編集。 ★★★★★
5編の短編はいずれも銀行内で起こる事件で、犯人は誰か解いていく推理とサスペンスは読み応えあり面白い。第1話の「金庫室の死体」は、破綻した城南相和銀行長原支店の金庫室内で老婆の死体が発見されるという衝撃的な始まりだ。老婆の2億円の定期預金の行方は? 第2話の「現金その場かぎり」は、締めの時間にテラーの一人の現金が300万円不足だ。しかもこれが2回目という。これは池井戸氏の短編集「不祥事」にある「過払い」に似ている。 第3話の「口座相違」は、東都銀行渋谷支店で最もまずいミスが発生した。3000万円の口座相違だ。ところが思わぬ展開に。 第4話の「銀行狐」は、帝都銀行本店に頭取宛の不審な手紙が届く。発信人は「狐」、銀行をひどく憎んでいるようだ。 第5話の「ローンカウンター」は、渋谷円山町で若い女性死体発見、その近隣で2件の殺人事件も発生した。迷宮入りしそうになったが、山北刑事が自分のオートローンの相談に銀行のローンカウンターに行った。そこで・・・。
この中で第4話「銀行狐」には、帝都銀行が融資をして帝都グループの生保の変額保険に加入させたあの事件も出てくる。あの銀行グループが圧倒的に多く、訴訟の数も飛びぬけて多かったのが思い出される。また怖いミスは第2話の現金の不突合と、第3話の口座相違だ。「現金その場かぎり」とは、窓口のテラーのみならず、外訪時の現金授受も、その場で確認しなければ後の祭り、怖い。口座相違した場合の顧客は善人ばかりでない。変な口座に入ってしまえばどうなるか、怖い。池井戸潤氏にはまた別の作品で、違算、口座相違、或いは当座預金の不渡りか入金待ちか、貸出稟議が決裁されるか否かという逼迫した状況、取引先との癒着、投信販売のコンプライアンス等々という怖い話を期待している。
秀作ミステリー短編集 ★★★★☆
 5編の短編が収録されているが、それぞれが切れ味鋭く、読み応えがある。どの事件も銀行が関係するが、様々な手法を駆使して、テイストの異なる作品となっている。
 「金庫室の死体」は閉鎖された銀行の金庫室から死体が発見され、捜査を担当する刑事の視点で描かれている。死体発見現場が銀行内であるから、捜査対象も銀行に係わるものとなる。「ローンカウンター」でも、連続婦女暴行殺人事件を追う刑事の視点で描かれているが、事件と銀行が一向に結びつかない。勿論著者の作品だから、銀行員が犯人ではと想像は付くのだが、接点が見えない。そして犯人に結びつく接点・手口に意外性がある。
 全体として構成力があり、短編としてのクオリティーの高さを感じる。「不祥事」が連作短編集として軽快なミステリーであるのに対し、本書は本格的な内容で対比すると面白い。乱歩賞受賞直後の作品集のようだが、伊達ではない確かさがある。読んで損はない。
確かな文章力+金融スペシャリスト→傑作 ★★★★☆
元銀行員の乱歩賞作家が書く初の短編集。
銀行勤務の経験が存分に発揮され、
かつ、それが衒学や自己満足に陥らず、
精緻なミステリーとして成立しています。

この作者の本を読むのは3冊目になりますが、
これまで「やはりある特定の分野に詳しいってのは
作家として有利だよな。やはり時代はスペシャリストを
求めているね」などと思っていましたが、
確かな文章力・プロット構築力が土台にあることが、
この短編集を読むとよくわかります。
星3.5です ★★★☆☆
収録されている短編の中では「金庫室の死体」がミステリーとしては一番良いかなと思います。他の短編も小粒ながらまとまっていておもしろいです。ある短編に、この作者の別の作品の主人公が”ゲスト出演”しているのが嬉しかったので、星を0.5加算です。(笑)
切れ味鮮やかな銀行ミステリ ★★★★☆
池井戸潤は現場(三菱銀行)出身の書き手とては、経済小説・情報小説に偏らずミステリ・エンタテインメントの部分とのバランスが取れているのが特徴。本書も処女短編集らしく各篇に別々の趣向を凝らして楽しませる。表題作はじめ、結末部分を寸止めの形で終わらせたものが多いが、とりわけ「現金その場かぎり」が鮮やかな切れ味である。老若男女銀行員それぞれの哀歓と謎解きが見事にシンクロしている。「ローンカウンター」「金庫室の死体」も警察小説としてもよく書けていて読みごたえ充分。他の二篇も良いが少し銀行批判部分が浮いた感じもある。