フィッシュマンズのカバー・アルバム。UA、曽我部恵一、クラムボンら、メジャー/インディーを取り混ぜた12のアーティストが参加している。アコギ弾き語りの曽我部、音数を絞った音響的アプローチのクラムボン、ジプシー音楽風のチープなインストのサケ・ロックなど、各アーティストとも独自のスタイルをはっきりと出したアプローチばかりがならぶ。
特に素晴らしいのはUAの「頼りない天使」。栗コーダーカルテットのほのぼのとした演奏と、彼女のあたたかくやさしい歌がぴったりと合致して、原曲のせつなさを見事に表現している。全体を通して、メロディーのやさしさや言葉の鋭さが浮かび上がり、佐藤伸治のソングライティングの非凡さを改めて認識させられる。(小山 守)