このメンツ独自の緻密なスピード感がスリリング
★★★★☆
コマーシャルじゃない、というレビューもありますが、僕は十分パットらしい聴き易さを纏ったアルバムだと思いました。超ド級の演奏力を誇るクリスチャンとアントニオを従えたトリオ編成のライブ(2003年12月、ブルーノート東京)録音ですが、2・4曲目の緻密でスピーディーなリズムはこのメンバーならではのものでしょう。また、3曲目はかつてパットが矢野顕子に送った曲ですが、彼女のキーや歌声を意識して作られたためか、本盤の解説を読むまで僕はてっきり彼女のオリジナルだと思ってました。この曲のパット・バージョンが聴けるというのも、日本のファンには本盤の聴き所ですね。
静と動がはっきりした構成の「EP」(というかミニアルバム)ですが、特に「動」に強烈な強みを持ったメンバーだけに、どうせならライブ全体を聴きたかったのが正直なところなので、食い足りなさの点から星は一つ減らしました。まあ、それでもボリュームは40分あるんですけどね。
相変わらず質の高いライブです
★★★★★
gのパットメセニー、bのクリスチャンマクブライド、drのアントニオサンチェスによるライブアルバムです。商品説明にあるようなライルメイズの参加はありませんので、ご注意を。
さて、サウンドですが、最近のパットを象徴するように、コマーシャリズムのない複雑なもので、パットミュージックとしかいいようのない多種多彩な要素を含んだJAZZになっています。ただ、その反面、ギターシンセの音が神秘的なナンバー、スピード感溢れるナンバー、荘厳なナンバー、前衛的なナンバー等々、5曲ながら、内容もバラエティに富んでいます(ついでですが、5曲で40分あります)。
これに、強力メンツによるプレイが加わるわけですから、やはり、質の高いライブアルバムといえるでしょう。
ただ、コマーシャリズムがありませんので、結構、はまるまでには時間を要したのも確か。パットの熱烈ファン向けのアルバムといえるでしょうか。
TRIO→LIVEに劣らぬライヴの快作。トウキョウ・デイ・トリップとの関係は?
★★★★★
EPといいつつ全5曲収録で40分超の聴き応えある作品だ。ジャケット・デザインは上のイメージを拡大しわかるように、日本語の文字が氾濫している。これで雨が降っていたら映画ブレードランナーの世界だ。TOKYO DAY TRIPの字も見える。今予約を募っているトウキョウ・デイ・トリップも5曲収録らしいから、本作はトウキョウ・デイ・トリップと同じ? 添付解説資料は何もないが、ジャケット内側の記載から東京でのライヴ録音であることは確かだ。トウキョウ・デイ・トリップと本作のどちらか、あるいは両方購入を検討している人は、トウキョウ・デイ・トリップの収録曲(現時点では私には不明)と本作曲目リストとを比較検討することを薦める。同じ5曲でも曲が違うことも考えられるからだ。
本作の収録曲だが、既発売のデイ・トリップと重なる曲はない。シャープな録音で各自のテクニックが鮮明に浮かび上がる。スタジオ録音のデイ・トリップよりエッジがきいているという感じだ。神秘的なギターの響きが印象的な#1、スピード感満点の#2、まさにINORIというタイトルがぴったりの心休まる#3、一転してTRIO→LIVEディスク2後半を髣髴とさせる前衛的な#4、そしてスローなムードでしめる#5。多彩な曲の何れもパットの、いやこのトリオの魅力に満ちており、TRIO→LIVEに負けないライヴの快作だ。40分では物足りない。このトリオのライヴをもっと聴きたくなる。