オーソドックスなんだけどパットの音。
★★★★★
個人的に、C.マクブライド(bs)とパットの共演にときめきました。保守本流派ベーシストとして90年代以降ジャズ・シーンを引っ張ってきた若年寄のマクブライドらしく、時にフュージョン・スレスレなまでに聴きやすいパットのフレーズとのぶつかり合いを、うまく相手に合わせながらジャズのベクトルに纏め上げているように思います。(勿論、パット自身がジャズの方向に本盤では歩み寄ったということもあるでしょうが。)
パット自身は常に様々な音のベクトルを模索している人であり、このトリオで聴かせた音も通過点でしかありません。でも、こういうオーソドックスなアプローチをやっても、やっぱり上手い人なんですよね。そして、鳴ってるのはあくまで「パットの音」でしかありません。そこが凄いと思います。
とにかくバカテクなアルバムですが、それでいて聴き易いので読書のバックミュージックとしても使ってます。
この「トリオ」も通過点なのか?
★★★★☆
ブラッドメルドートリオとの「カルテット」での来日もつかの間、パットお気に入りのアントニオ・サンチェス(ds)とテクニシャン、クリスチャン・マクブライド(b)との「トリオ」による新作とは驚きました。
様々なギターを使い分け弾きまくるパットとカラフルなサンチェスのドラムで、PMGのファンにはとっつきやすい出来上がりだと思います。反面、前作「カルテット」を聞いた方なら、久々のライル・メイズのピアノも聞きたくなるのではないかな?
ギタートリオとしてなら、ラリー・グレナディアらとの(昔の)「トリオ」の方が、がちゃがちゃしてJAZZぽいと思うし、アコースティックの癒しを求めるならチャ−リー・ヘイデンとの一連の作品の方がくつろげる。
何よりもこの「トリオ」も一過性のもののような気がして・・・良い出来ですが、星1つ分は何か物足りないのです。
こんなメセニーを待ってました!
★★★★★
パットメセニー・グループの最近の作品どうでしたか。どうも95年の「ウイ・リブ・ヒア」以来ぴりっとしないと感じていました。そんな中2000年のトリオスタジオ盤とライブ盤は素晴らしかったが、その後のソロやメルドーとのデュオも今一つしっくり来ない。
そこで本作のニュートリオ盤。こんなメセニーを待ってました!縦横無尽にギターを弾きまくるメセニーです。5曲目の「CALVIN'S KEYS」は前トリオの『Soul Cowboy』を、7曲目の「WHEN WE WERE FREE」はトリオライブの『Question And Answer』を彷彿とさせます。また、エレキとアコースティックのバランスもいい。
全曲メセニーのオリジナル。ジャズやフュージョンと言わずに、これはジャンルそのものがパット・メセニーだ。メセニーの入門盤としても最適です。
『トリオ』での様々なアプローチはいつか傑作を出す予感はある
★★★★☆
2005年10月19日ニューヨーク、ライトトラック・レコーディング・スタジオにて録音。へたうま絵でなかなか特徴のあるジャケットはJosh Georgeという人の作品らしい。
『トリオ』という形式はパット・メセニーが様々なアプローチを試みてきたカタチだが、『グループ』や『デュオ』ほど名作を生み出してこなかった。今回の作品もパットの腕前からしたら普通の出来映えで終わってしまっている。ジョン・スコフィールドとのデュオでも取り上げた『Red One』もやっているのだが、ジョン・スコとの方が数倍魅力的だった。ただこの『トリオ』での様々なアプローチはいつか傑作を出す予感はある。
むしろ気になったのはこのアルバムもリリースしているノンサッチがこのアルバムのインナーで告知しているのだが、過去のパットのアルバムを全部リマスターして再発しようとしていることだった。それは凄い。
良いのだけれど・・・ダントツではない
★★★★☆
前作メセニー・メルドー「カルテット」のレビューで、PMGのメイズ、ロドビー、サンチェスでカルテットしても、これ(「カルテット」)より良くはないのだろうけれど・・・と書いたのもつかの間、
強行軍のメセニー・メルドー「カルテット」ジャパンツアーの裏側では既に、お気に入りのサンチェス君とちょっとダークでファンキーなマクブライド君とトリオを組んでいたとは・・・よほど、いろいろなベーシストとやりたいのだろう。
特徴としては、サンチェスのドラムがカラフルでイキがよく、グレナディア・スチュアートの「トリオ」より、PMGファンにはとっつきやすい気がします。しかし、ジャケットの絵のように、原色どおしがぶつかってちょいとケバイ気がしないでもない。
がちゃがちゃ前衛系なら「トリオ」の方がよく、癒し系ならへイデンとの一連の作品の方がよい、いずれにしても「ダントツ」ではないと思います。