テンションに満ちたライヴでのパフォーマンス、そして思想的ともいえる社会活動ぶりへの評価が広がり、現役ながら早くも伝説化しているレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン。彼らをそこまで強く支えている魅力は、ハーバード大を卒業し、その後上院議員の秘書も務めたトム・モレロの政治意識、チカーノとして生まれ育ったザック・デ・ラ・ロチャの被差別体験から来る詩の独自性にあるだろう。
そのスタイルと存在性は、デビューから一貫して掲げる「第三世界の現状」、「世界各地での人種差別や搾取」、「チベット問題」、「強大な祖国への冷静な不信感と怒り」など、きわめて今日的なテーマによって支えられている。そのような政治性をロックの本来的な役割であったとするなら、彼らの活動ぶりや存在は1980年代にきわまった商業ロックへのカウンターであり、まさにオルタナティヴであるともいえる。デビューから3作目、詩はさらによくなった。(駒沢敏器)
1999
★★★★★
国歌も思うように歌えない日本ではこんなバンドが生まれることなど夢の夢だろう。星条旗を逆さまにしてアンプに貼りつけ、アメリカの体制をコテンパンに批判し、世界に横行する不公正と暴虐にキバをむく。「心ない体制への怒り」というバンド名を掲げる筋金入りの闘士たちである。ロックはもともと反体制の音楽だとはいえ、これまで透徹した怒れる若者たちを私は知らない。
しかし、実のところかつての彼らにはあまりの激しさゆえに近寄り難いというか、「今疲れてるから後にしてくれない?」と言いたくなるようなところがあった。鋼の硬質さを持つサウンドと一瞬もたゆまぬテンションにヘキエキさせられることもしばしばだった。が、この3年ぶりの3枚目のアルバムでは、燃える怒りと舌鋒の鋭さに磨きをかけつつも、したたかにやり方を変えた。ガゼン聴きたくなる音(聴きやすい音じゃなくて)になっているのだ。トム・モレノのクレイジーなギターは楽器の概念をひっくり返してしまうような奇想天外なノイズをまき散らし、リズム隊もガ然ユニークになった。楽曲の質もぐっと向上したし、ザックのシャープなラップのノリも実にいい。最初からこちらの耳を魅きつけ、いつの間にか全神経を集中させて聴き込ませてしまうという心憎い作り。ここには怒りを発端にして新しい啓蒙へと人を導こうとするきわめて建設的な力が働いているのだ。ロックがここまで激しいエモーションを爆発させつつ、同時に知的だったことがあったろうか。まったく新しい刺激的な音楽に触れる興奮を感じている。
音楽の力を軽視した愚かしいアルバム
★☆☆☆☆
ファーストから一貫した姿勢といえば聞こえがいいが、要は音楽的洗練と無縁なだけ。
いい大人が聴くには確実に青臭くて退屈なアルバムですね。
優れた芸術とはすべからく反骨の芽を内包しているものですが、メッセージの秘匿性は芸術にとって基本中の基本なはず。
このバンドって何かにつけて分かりやすすぎでつまらない。
深みが無い。
明確すぎる批判対象、ボリュームのデカさ、音楽性の貧困さをを下品と呼ばないばかりか理論武装のよすがにしている人までいるから何とも嘆かわしい。
音楽の持つ芳醇な文化力を軽視してコトを起こせば、そりゃ怒りぐらいしか表現できませんわな。
結局、闘争の向こう側にある理想郷の姿が何だかよく分かってないんだろう。
そんな人達の説教なんか聴きたくないです。
これが「本物」かも!
★★★★★
リンプビズキットやリンキンパークなど、ミクスチャーロックをやるバンドが増えていますが、やっぱりレイジは別格かもしれません。
理由はバンドの確かな技術力と、ヴォーカルとギタリストが天才の部類に入るからです。
個人的には初めて聴く方には1stをオススメします。このアルバムもモチロンいいのですが、1stが一番このバンドを理解できるんじゃないかと思います。
Couter culture.
★★★★★
彼らの残した三枚のalbumには人に行動を起こさせる何かがある。単なるロック音楽というジャンルの枠を超えて抑圧を強いる社会に対しての、対抗手段としてのアートフォーム。彼らの怒りに是非耳を傾けて欲しい。
聞きやすいかな
★★★★☆
現在のヘヴィロック界ではONE AND ONLYな存在といえる彼らの通算3枚目のアルバム。
最初に聞いた感想は
「ずいぶん聴きやすくなったな」というものでした。でも5曲目の「SLEEP NOW IN THE FIRE」などは最高にかっこいい曲です。
彼らの場合歌詞世界をよく理解しないと、表面だけのかっこよさだけをなぞって終りっていうことになりかねないので、じっくりと詩も読んでいただきたいと思います。
今回もRAGEは他の三下バンドのアルバムを軽く超越する作品を我々に提示してくれました。