気取らない威厳と控えめなエレガンスの持ち主、バーブラ・ストライザンド。長らく姿を見せなかった彼女が、愛する観客たちの前に現れた。1994年の元日、ラス・ベガスで2回にわたって開かれたコンサートでのことだ。その喜ばしい結果は、このディスクに収められている。アリーナを埋め尽くす群集の中には、スティーブン・スピルバーグやマイケル・ジャクソンの顔も見える。彼ら観客に向けて、「As if We Never Said Goodbye」で一挙に復帰の喜びをぶつけるストライザンド。観客も大喜びだ。おなじみのストライザンド・マジック、すなわち楽曲のエモーショナルなエッセンスを膨らませ、聴く者の心を奪う才能は、ここでも全開。巧みにリライトされた「I'm Still Here」でスタートする優雅なメドレーや、ブルージーな「Lover Man (Oh, Where Can You Be?)」は、その成果と言える。ストライザンドと映画『野郎どもと女たち』出演中のマーロン・ブランドの映像がうまくデュエットしてみせるなど、手の込んだ仕掛けにも事欠かない。この6年後にMGMグランド・ホテルで開かれた、より凝った趣向のミレニアム・エンド・ショー『Timeless - Live in Concert』を予告しているかのようだ。ストライザンド・ファン必見の1枚。（Tom Keogh, Amazon.com）