名文満載の知的レベルの高い画文集
★★★★★
本書のベストセリフ
「芸術家は聖なる権威を持って、
自分が他のものよりもはるかに上位にあると考えてはならない。
創作のセンスというものは、
すでにしてなにがしかのものだが、
それがすべてではない。
ある人はまったく平凡で、
美を感ずることなど到底できないほどだが、
優れて意識の高さ、
高貴さを示すことがある。
ベートーベンと芸術の神が生を振り蒔く世界に生きられることは、
天に感謝すべきだろうし、
特にそれを理解することができることを誇りに思うのは、
当然だ。
だが、そういうことによって人より優れたいと思っている人々の
まったく自分勝手な苦悩は、
エゴイストで凡庸なものだと思う」
苦悩する自分をかっちょええと思ってる似非芸術家を見事に批判した名文ですよな。
創作の能力は無いよりはあった方がいいが、
無い人物でも高貴な優れた人物がいると認識しているルドンは一流だな。
他にも名セリフ名画満載の素晴しい画文集である。
落ちのある構成にもニヤリとさせられる知的レベルの高い本である。